ダブルヘッドジョーズVSにゃんごすたー

一番目にリプ来たキャラを二番目にリプ来たキャラが殺すSS

 悲鳴を上げながら逃げ惑う海水浴客の流れに逆らうように、にゃんごすたーがゆっくりと波打ち際へと向かって行く。その海の沖には、双頭の鮫が牙を剥いて水面から躍り出る姿が見えた。逃げ遅れた人がまるで小魚かのように食い尽くされている。
 店員まで逃げ出して、すっかりがらんどうになった海の家のバルコニーに、にゃんごすたーは足を踏み入れた。そこには、まるで要塞のようなドラムセットが組まれている。
「特別ライブの、始まりだぁよー!」
 ドラムスティックを構えたにゃんごすたーは、高らかに宣誓した。辺りにもう人はいない。沖合で逃げ遅れた人々や、彼らを救助する為に近付こうとしている船は、今や死と隣り合わせだ。海岸の様子など目に入れる余裕はない。ただ、鮫の頭の一つが、にゃんごすたーの姿に気付いた。
 ほんの一瞬、まるで死神が通ったかのような静けさを埋め、地を揺るがすように、バスドラムが音を響かせた。次にスネアドラム。次にタム。一つ一つを確かめるようにドラムを叩いたと思えば、にゃんごすたーは気合いを込めるように、スティックを握りしめた両手を掲げた。

 そこからはもう、にゃんごすたーの独擅場だ。

 激しいリズムを刻む度に、鮫は何かの衝撃に打ちのめされるようにのたうち回る。紅だ。遠巻きに沖の様子を見ていた陸の人々が歓声をあげた。曲に合わせて皆が飛び上がる。鮫の頭は、二つとも苦しむように畝り、沖の更に遠くまで逃げ出そうとした。
 けれども最後、にゃんごすたーがドラムを叩ききった瞬間に、鮫の頭を分かつように大きな雷が直撃した。


―― にゃんごすたーの勝利だった。


 いつの間にか集まっていたオーディエンスは、轟くような歓声を上げ、そして鳴り響くアンコールの声。それは沖合に残された人々にも伝播し、辺り一帯を揺るがすほどのリズムが生まれた。
 肩を竦めながらも、にゃんごすたーはアンコールに応えるべく、生まれたリズムを育てるかのように再びドラムを叩き始めたのだった。