茉神 汐
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創作 セイとサイノの話

創作/セイ・フウレイとサイノ・ティラツィエの話

 ガシャン、と会議の席に出されていたコーヒーカップが割れる音。会議などもう終わっていたのだが、サイノとセイは、村の食堂兼酒場で働いているジョアンについて話をしていた。サイノのカップは割れていないため、音の出どころはセイに違いなかった。
「どうした、珍しいじゃないか」
 茶化すように笑ってみたサイノだったが、セイは無感情に自身の利き手である右腕の方をじっと眺めるだけだ。会議の席でセミフォーマルな装いだから、セイは白い手袋をはめている。どこか可笑しい、と気付いたときに、サイノは、目を疑った。
 セイの右腕にはコーヒーがかかってしまっているのだが、セイ自身は全く気にも止めていない。割れたカップの破片と、周りに溢れたコーヒーからは湯気が僅かだが見えるというのに。
「セイ、お前の右腕」
「さっき完全に死んだ」
 それが何を意味するか、サイノは良く理解していた。
「何で早く言わなかったんだ。指先程度の壊死なら、まだ進行を抑えられると知ってただろう?」
「どうでもいい」
……俺は、フェリアが羨ましい。お前を生かす事が出来たのは彼女だけだ。お前が生きたいと願う理由なんて、もうこの世にないんだろう」