無窓居室
2023-03-30 13:07:50
1805文字
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ハーリーティー異聞(⚠️😈👹子作り・監禁ネタ)

捏造だらけの世界観で😈が👹を変な方法で身籠らせる話。日本一優しい鬼退治(大嘘)
元ネタは鬼子母神とペルセポネーの略奪です。

 
 鬼とは人を喰らって子を産む生き物である。

 いつの頃だったか、優中部という町の小学生の間で「きさらぎ駅に行くと鬼に食べられる」と言う噂が立つようになった。
 きさらぎ駅とは路線図に無い名前で、電車の中で寝過ごすといつの間にか着いてしまうと伝えられる駅である。子ども達は電車に乗るのを嫌がり、特に遠方に塾や習い事のある子どもの恐れようは大変なものだった。
 そんな子ども達の中の一人、さとしという少年の家に悪魔が棲みついていた。実はこれが魔界で最も強く、魔界の王でもあるブラックという悪魔であった。人間の子どもの噂に興味を抱いた悪魔はきさらぎ駅へ向かった。現世に関わる異界の生き物として、縄張りを守るためでもあった。

 きさらぎ駅の鬼の大将はアカネという鬼娘で、ちょうど女の体になる歳でもあり、子を産むために迷い込んだ人間を取っては喰っていた。鬼は喰った人間の肉を胎の中で自分の子にする。どういうわけか他の獣では鬼の子にならないのだった。
 悪魔の方も自分が根を下ろした町から子どもが攫われるのを座視するわけにいかない。悪魔はこの鬼娘と一戦を交えた。そしてこの娘を大人しくさせがてら、自分のものにしたいと思った。
 そこで悪魔は双方が深手を負わないうちに戦いを切り上げて魔界へ下り、魔界の西の果てにある夜毎に死ぬ月の骨が積み重なった荒野に、東の果てから汲んできた太陽が生まれる泉の水を撒いて、手ずからに一本の柘榴の木を育て上げた。柘榴はたわわに実を結び、悪魔はそれを持ってきさらぎ駅へ参じた。

「アカネさん、オレちゃんあなたを好きになりました。結婚して妻になって下さいませんか。この柘榴があなたの胎に入れば身籠ります」
「誰がおまえの子なんて産むか。子の種は人の肉で間に合ってるよ」

 鬼娘は初めて会ったときと同じに飛びかかってきた。しかし悪魔は影たちを使い娘の動きを封じてしまった。
 鬼娘は抗ったが、悪魔が取り出した柘榴の実を一粒口に入れられると、それはあまりに美味で食べるのをやめることができない。いつの間にか悪魔の手から柘榴を奪い取り、貪るように二つ喰ってからようやく我に返った。

「一個食べれば一人、二個食べれば二人……楽しみですねぇ。男の子と女の子がいいです」

 鬼娘は呆然と柘榴の汁に濡れた自分の爪を見た。

 身重の体で何度も居城から逃げ出そうとする娘を、悪魔はそのたび口づけで諌めた。悪魔の口づけはあの柘榴の実と同じ味がして、唇を塞がれてしまえば鬼娘に逃れる術は無かった。

 月が満ち、男の子と女の子が産まれた。

 もはや鬼娘は逃げようとしなかったが、悪魔は絶えず娘に口づけた。そして繰り返し抱きしめたので、二人は傍目にはひとかたでなく仲睦まじい夫婦に見えた。

 ある晩、二人の間に生まれた幼子は父母の部屋の扉が開いていることに気づいた。部屋の中の寝台の上では、悪魔が鬼娘を後ろから捉えて噛み砕いた柘榴を口移しに食べさせていた。

「ブラック……許し、て……もう
「もっと食べていいんですよ、子ども達に弟か妹を作ってあげましょうね

 鬼娘は涙を流しながら、喉を鳴らして汁と果肉を啜っていた。悪魔は満足そうに赤く濡れた口元を釣り上げた。

 時が経ち、悪魔は妻と子ども達を人間界の森へ遊びに来させた。男の子と女の子はすっかり腕白ざかりになっており、末の子は鬼娘の手に抱かれていた。
 優中部の町だけでなく、人間界では既に鬼の噂もきさらぎ駅の言い伝えも忘れ去られて久しい。
 悪魔が上の二人を連れて森の中を散策しているうち、未子に乳を与えようとしていた鬼娘はふと、子の爪が鋭く尖っているのに気付いた。まだ乳を飲む月齢なのに、口元には肉食獣のような犬歯が覗いている。

 そのとき、鬼娘は思い出した。魔王の妃となってはいるが、自分は鬼ではなかっただろうか?率いていた群れがあり、柘榴ではなく人を喰って──

 しかし次の瞬間、悪魔がどこからともなく現れて鬼娘の目を覆い、唇を塞いでしまった。そうすると鬼娘はまた何もかも忘れ、未子に乳を飲ませる支度を始めた。すでに鬼娘の爪は花弁のように丸く磨かれ、歯の中に牙が見えなくなって久しかった。
 抱き合う父母のところへ上の子達が駆け寄る。それはまるで、何の変哲もない幸せな一家の姿であった。


 2023/03/30