ぽふむん
2023-11-04 22:21:11
3198文字
Public 童しの
 

幻想の絵画

#童しの版深夜の真剣物書き60分一本勝負

「朝食」「芸術」「秋」をお借りしています。
現代if
どしの以外にわちゃわちゃ大勢居ます。

朝起きたら何故かかつての鬼たちがわちゃわちゃ、モーニングバイキングをしていてびっくり仰天なしのぶちゃん。

自称芸術家のあの方が秋の新作絵画の発表会を始めます。

和気藹々としてるのに最後ほんのり………

アフタヌーンティー用のケーキスタンドに、りんご、梨、巨峰にマスカット、柿の盛り付けられたプレート。

たまごサンドにベーコンレタスサンド

スクランブルエッグにウインナー
焼きたてのクロワッサンにロールパン

和食が良ければ、具だくさんのお味噌汁、おにぎりにお漬物、しょうがの佃煮まである


たった二人で同居しているはずのマンションの一室

二人で暮らすには広すぎる。
だが、時々こうやって謎の集まりが開催される時には程よい広さの……

……なにこれぇ!」

寝癖で髪はぼっさぼさ。半纏姿で、謎の海洋生物のぬいぐるみを抱きしめたしのぶは目の前の光景に思わず叫んだ。

無理もない

土曜の朝はゆっくり朝寝坊
遅めの朝食兼昼食をボーッと優雅に食べる。
食べ終わったら[専用お座布団童磨の膝の上]に腰かけぬくぬく読書。
時々眠くなったら[[rb:専用お座布団>ここは誰にも渡さない
の膝枕。
平日激務な分、ひたすら怠惰に過ごす週末。
翌日は万端な状態で映画を見に行ったり、ブラブラ街歩きしたり

そうやって癒しパワーチャージが毎週のルーティーンなのに

なんだか今日は騒がしい。
時計を見れば、まだ8:00じゃないか。

「おーはよ、ねぼすけ」
「きゃはは、何ぃしのぶ。髪寝癖だらけwww」

恋雪と梅に笑われた

「梅ぇ、お前だってこんなことでもなけりゃぁもっと酷いじゃねぇかぁ。お互い様だぁ」
プレートの上のおにぎりをもぐもぐ食べながら、兄の妓夫太郎が言う。

「毎朝同じ時間に起き、鍛錬。これが健康的な一日の始まりという物」
そう言いながら味噌汁の中のほこほこに煮えたさつまいもを頬張る狛治

「な……なななな???」
空いた口が塞がらない。
何が一体どうなっている?

「おっはよー 、しのぶちゃん。わぁ、寝癖なおそうね」

同居人に捕獲され、二人暮しには広すぎるLDKの一画のソファーに身を預けられ手慣れた手つきで髪の手入れが始まる。髪の手入れが終われば、浮腫んだ顔のマッサージと薄化粧が施され

何が何だかわからないどうしてこんな至福の時間に人目があるの


身繕いを終え、黙々と童磨の入れた温かいカフェオレを飲む。
ああ、温かい。
このクロワッサンも美味しい。

童磨が焼いたしのぶの自慢でお気に入りのクロワッサン。

実は和食も捨てがたかった。
ほんのりしょうがの効いたお味噌汁は滋味に満ち溢れ、寒い朝には最高なんだから。
童磨の作った朝ごはんはなんでも美味しい。

……って、違う!

だから、何なんだこの状況は思う存分甘えられないじゃないか、馬鹿野郎!!

「賑やかで食も進むでしょ?」
なんて呑気に言う専用椅子に、思わず肘鉄をかまし怒鳴りつけようとしたその時

「皆様、おまたせいたしました。ぅわたくし玉壺の新作絵画のお披露目会を開催致したいと思います。まずは会場を提供いただきました童磨殿にこの場にて改めて感謝を

同居人の友人。アジアンビューティと言うか、蛇系マフィア顔な、自称芸術家が語り出した。
「前置きが長い!さっさと始めろ。私は朝早くから呼びつけられて不快の絶頂だ」
しのぶと同じ体質らしい。朝が超絶に弱いらしい議員先生が不機嫌極まりない。
「はぅ!そんな、無惨様酷いだがそこがいい……ごほん、それでは一枚目でごさいます。」

目の前に出されたのはライトアップされた都会の銀杏並木の中、道路脇にバイクを止め談笑している妓夫太郎と梅の兄妹の絵

「秋は、寒からずあつからず、ツーリングには最高の季節のようで。これから兄妹仲良くお出かけする前の一枚でございます」
次に出されたのは、同じく黄色や赤に染った公園を二人でランニングする狛治と恋雪

日常の光景を絵に書き起こしたようだが、何か違和感がある。

このライトアップされた銀杏並木は何処だろう?
この公園は何処だろう?
いや、そもそも何時?

今年は葉の色づきが悪く山ですら見頃には早いと聞く。

聞けば、本当はシャッター街でバイクを止めて談笑している瞬間を撮ったもの。
それに各地のオシャレな街の画像をはめ込み、それだけだと無機質だと銀杏並木の画像も嵌め込み

それを元絵に描いた水彩画であるらしい。
つまりは、実際にはない光景。


「さらに、こちらはここまで色づく季節にはこの角度でここまで強く陽光は射しません。ですが、あえて高い位置からの光のグラデーションを書き込むことでお二方の印象を強く………

実在のものを無数に組み合わせ作り上げた想像画を、得意満面で紹介していく玉壺にツッコミが入る。

「かぁあ、相変わらず陳腐な作風だなぁあ」
「なんですと!?この無教養な」
「でも、在り来りじゃない?きゃははは」
「で、会場提供者の絵はないのか?」

珍しく童磨に気を使った言葉が出る。
確かに、寝癖にパジャマ姿で現れたしのぶの様子を鑑みるに、土曜の早朝から手伝いの手もなくセッティングに動いてくれたことは確実で

「あはは、しのぶちゃんに内緒だったからね。俺たちのは想像の結婚式の絵だって聞いてたから、サプライズだったんだよね」

どんなサプライズだよ!と言わぬばかりに、しのぶの肘が脇腹に入った。
だが、玉壺の顔色は冴えない。申し訳なさそうにしおしおしている。

「それがぁ……大変申し訳ない。ワタクシとしてはあまり良い出来ではなく」

そう言って出された作品は真紅の楓の毛氈の上を佇む2人の男女
錦糸銀糸、色とりどりの刺繍の施された豪奢な深紫の打ち掛けをまとい、伏し目がちに穏やかに上品に微笑む白い角隠しの花嫁。
それを、実に慈愛に満ちた愛おしげな眼差しで見下ろす紋付袴の新郎
参道には楓が赤く色づき、奥には神社とも寺ともつかぬ建築物。

「童磨殿の瞳は難しいのです一瞬一瞬で色や光が変わり、しのぶ殿を見つめる眼差しもこのようなものではなく
「あぁ、自分でわかってるんだぁ、腕がないって」

梅がケラケラ笑うと、玉壺は拳を握りしめ怒り心頭の面持ちとなる。
「ぬぁんですってぇ!!このこむすめぐぁああああ!」

梅はちっとも悪びれていないが、バカにされた玉壺はいつ殴りかかってもおかしくないと思うほどに怒っているから、慌てて恋雪が仲裁に入る。

「まぁまぁ。童磨さんのことを知らない人が見れば優しそうで綺麗な目よ。私たちは知っているから何か物足りないのよね。童磨さんの瞳がきれいすぎるのよ」

「光が……足りぬ」
絵画などでは収まりきれぬ恋心や慈愛。ありとあらゆる想いに満ちた瞳の光は再現不可能。

自称芸術家は悔しがる。
だが、モデル本人は然程に気にして居ないどころか、充分満足しているようだ。

「まぁまぁ、すごくよくできてるじゃないか。しのぶちゃんがすごく綺麗だ。ありがとう。玉壺」

そのねぎらいの言葉に感極まったのか、次々としのぶの「ありえない姿の肖像画」を公開し始めた。

中でも秀逸なのは、猫嫌いのしのぶが猫を慈愛の瞳で見つめる絵。
実際には、水槽内の珍魚やシャーレ内の微生物を見つめている写真を元にしている。

「こっちはなんだい?」
童磨がぱっと一枚の絵画にかけられた覆いをとった。

そこには妖艶な笑みを浮かべたしのぶがドクロを掲げ持つ幻想画

「うげーーーー!!趣味悪」
梅が速攻叫んだ。

朝の食事中に見るものでは無い。

だが、同時にその場にいる皆が奇妙な既視感。有り得なくもないという奇妙な感覚に襲われていた。

この首………髑髏ではなく???

───なんだろう?しのぶちゃんはこんな笑い方はしない。もっとかわいい………なのになんでこんなに高揚感があるんだろう───

───もっとかわいい首だった……あれ?誰の??生首がかわいい?変なの───