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吾妻
2023-04-17 23:36:00
2112文字
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GOD EATER
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ご褒美は前払い
急に意味もオチもない甘い話を書きたくなったので勢い仕事。
RBぐらいの時系列のいつものソマ主♀です。
少々余裕ができて、カノジョ相手に大胆な行動に出られるようになったズルい博士が書きたかった。
「
……
おい」
人様のベッドで
微睡
まどろ
んで、何度目かの寝返りを打ったところで、部屋の隅に寄せられたソファから呆れの混じった声が飛んできた。他でもない、この部屋の主からだ。
ちょうど背中を向ける体勢に転がったところだったので相手の顔は見えないのだが、おそらくよく見慣れた渋い顔をしていることだろう。長い付き合いなのだ、その程度は声を聞くだけで察しがつく。さらに、声をかけてきた意図まで何となくわかったので、返事もせずに続きを待った。
「
報告書
・・・
」
予想通りの単語が飛んできた。
刻み込むようにゆっくり、一文字ずつ区切って発音された言葉に、思わず背中がきゅっと丸まる。
「書くんじゃなかったのか。またツバキのやつにドヤされても知らねぇぞ」
「
……
あと5分」
「それはさっきも聞いた。後で困るのはお前だろ」
「だってえ
……
」
何もかも、ソーマの言う通りである。
遠征任務の報告書の提出期限が迫っているのも、空いている日が今日しかないのも、今日も既に夜中に差し掛かろうとしているのも、提出が遅れようものなら特大級の雷が降ってくるのも、すべて動かしがたい現実である。
報告書を書きます! と凛々しく宣言をしてソーマの部屋に転がり込み、タブレットを手にベッドに上がったはいいものの、久しぶりの休暇ゆえか、はたまた世界で一番リラックスできる場所にいるからか、過酷だった遠征任務の疲労がドッと吹き出してきてしまって、どうにもこうにも堅苦しい報告書を書く気になれない。
ソファに座った恋人が研究分野の参考文献をめくる音を聞きながら、先程からただゴロゴロしているばかりだ。
わかっている。どれほど過酷な毎日だろうと、これが自分の選んだ道なのだ。
――
でも本当に報告書なんて要るんだろうか。今回の任務は何も秘境で行われたわけではなく、現地のオペレーターもついてくれていたし、ちゃんと
記録
ログ
も取られていたはずだ。自分なんかのへたくそな報告書で何が伝わるものだろう?
「そいつを書くのもお前の仕事だからな」
――
最近のソーマは読心術でも習得したのかと勘ぐりたくなるほど、的確な言葉を投げてくる。確かにそうです。その通りです。おそらくコウタもアリサもサクヤさんも同じように言うはずだ。面倒だよなぁと頷いてくれるのはリンドウさんぐらいのものだろう。
頭では理解はしているけれど、でもでもだってと言いたくもなる。それぐらい、今回の任務はハードだった。
極東
いえ
に戻ってこられて、ようやく肩の力を抜くことができたのだ。かつては毎日のように入り浸っていたこの部屋で、のんびりゆっくりゴロゴロして日頃の疲れを癒やしたい。本来は聞き分けのいい子のつもりだけれど、もしかしたら今日は相当疲れているのかもしれない。
「
……
ルイ」
動く素振りを見せないベッドの上の生き物に対して、ソーマが今度は滅多に呼ばない名を呼んだ。流石にこれ以上駄々をこねるのも、部屋主に悪い。このまま横になっていると、本当に寝落ちしてしまいそうだし、そろそろ体を起こすべきだ。
しかし、疲労に支配された心身を引きずっていると、らしくもなく甘ったれたワガママを言いたくなる。
「ご褒美にちゅーしてくれるならがんばるんだけどなぁ~」
もちろん半分以上冗談である。起き上がるためのきっかけのようなものだ。
やれやれ、とやっと上体を起こしたところで、ソファに座っていた人影が動く気配があった。
「ん?」
迷いのない足取りで歩み寄ってきた人物が、照明を遮るように覆いかぶさってきた。
「あ、れ
……
?」
グローブを嵌めたままの、まだよそ行きの手が、むんずとこちらの顎を捉えた。やろうと思えばもっとムードのある扱いができるのを知っているだけに、相当しびれを切らしているんだろうな、と余計なことを考えているうちに。
「ん、ぅ
……
っ」
一切のためらいなく、噛みつくようにくちづけられた。
突然のことに目も閉じられずにいると、間近に迫ったアイスブルーの瞳がすうと細められる。かすかな苛立ちと、からかいの混じった仕草だった。
薄く開いた唇から、あっという間に舌先が滑り込んできて、呼吸を奪うように絡め取られる。本当に数年前まで他者との関わりを拒絶していた男なのかと疑いたくなるくらい積極的な行動に、くらくらと目眩がした。いつのまにこんなに、濃密なキスができるような大人に育ってしまったのだろう?
混乱はすれども、やっぱり心の底から大好きな相手なので、かすかに残った理性などほったらかしで心も体も喜んでしまう。一度離れそうになった唇を、首元に下がったネクタイを引っ張って引き止めてしまった。
「
――
これで、ちゃんと頑張れるな?」
やがて、濡れた音を立てて離れた唇から、少々意地の悪い声が零れてきて、酸素の足りない回らない頭のままで、こくりと素直に頷いた。
すっかり強かになった恋人が、喉の奥で小さく笑って、
「いい子だ」
更に卑怯な爆弾を落としてきたので。
「
……
うぅ」
ルイはとうとう、ときめきを持て余して顔を覆ってしまった。
【終わり】
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