2205年の付喪神事情

狸本丸怪談、付喪神も時代それぞれ。

この本丸の加州清光が“さにわ”という名の狸の飼い主であるならば、一方の大和守安定は狐の飼育係であった。こんのすけも鳴狐のお供も白山吉光の狐も小狐丸も、ついでに本丸に住み着いた野狐までもが、安定を大親分と崇め奉っている。それがどういう手練によるものなのかは、未だ不明であった。

狐マスターの安定は、餌に群がる狐どもを見ながら首を傾げた。
……増えてる?」
ひのふのみの……、と指差し数えてみれば、確かに多い。新入りがいれば、頼んでもいないのに必ず安定に面通しが行われるのに。知らないのが二匹ほどいる。
「こんのすけ、説明」
一足先に食べ終えて、一匹優雅に毛繕いをしていたこんのすけは、ハイハイと増えた二匹を前足で指して言う。
「この御二方は違うのです、大和守様。お客様なのです」
こんのすけが語るには、先日の演練会場でさにわが脱走し、たまたま斜向かいの本丸の審神者が捕まえてくれたのだそうだ。
斜向かいって同じ次元だっけ、とは言わないでおく。安定、空気読める刀。
「で、そのご近所さん?がなんなの」
「ご相談を受けまして」
相談と言うのが、この二匹の狐であるらしい。
何を隠そうこの二匹、遡ること二百年前に審神者氏の先祖の家に買われたぬいぐるみであった。その先祖氏はこの二匹のぬいぐるみを大層愛しており、蝶よ花よと大切にしていたと言う。
二匹は子へ、孫へと受け継がれてその結果、
「今代の審神者様の霊力により、ご覧の通りに御立派な付喪神となられたのです」
「ぷぺぎゅっ!」
「ゔぷぺっ!」
なんとも書き記し難い鳴き声をあげて、お利口に座っている二匹。
「こちらの白い御方が怨み狐殿、こちらの黒い御方が悪狐殿でいらっしゃいます」
平成の世から今なお続く、お子様に大人気のゲームのキャラクターでございますね。
「うわぁ、絶対に怒られるやつだ」
その政府から、本丸に視察が入ることになったのだから一大事である。
「視察中にうちで預かることになったわけだ」
「そのとおりでございます!」
なお、あくまでもぬいぐるみの付喪神である。“技”などは使えませんよと言われ、安定は少しばかりがっかりしたのであった。