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浦山野あずま
1433文字
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二次創作(とうらぶ怪談)
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よねづさん(仮名)と流し素麺の話~とある本丸怪談~
「僕、素麺って苦手なんですよね」
万屋の御中元コーナーを見ていた時のことだ。彼は筑後九十三番本丸の審神者で、私と同期に着任したため研修や戦績認定の日時が被ることが多く、それなりに親しく交流する仲だった。それこそ御中元に素麺セットを贈ろうかと考える程度には。
私の顔にそう出ていたのだろう。彼は少しばかり決まり悪そうに視線をさ迷わせ、小さく「すみません」と呟いた。
「他意はなかったんです。本当に。素麺が目についたから、つい口から出ちゃって
……
」
「いや、こっちこそ気を遣わせてすみません。ニーズの把握は大事ですし」
短刀も多いし、ゼリー詰め合わせとかの方がいいですよね。うちはこれがいいです。さりげなくどころか堂々と欲しいものをリクエストし、その場はなあなあで収めた。
それぞれ担当さんやら付き合いのある審神者仲間やらへの発注を済ませ、甘味でも食べに行くかと言うことになった。
lemonとか歌ってそうな彼と自衛官あがりの私で甘味処。なんとも異様な光景であろう。ふた席隣の山伏国広と日本号と岩融の三人連れには負けるが。
白玉餡蜜を平らげて茶をすすっていると、彼が「さっきの話ですが、」おおずおずと切り出してきた。あ、その話、続くんだ。
「流し素麺をね、したんですよ」
僕たちの着任、初夏だったじゃないですか。まだ人数も少ないうちだったから、出来るうちにやってみようってなって。鯰尾と堀川が張り切っちゃって。僕もね、その頃は平気だったんです。素麺。不動も珍しく甘酒を置いて手伝ったり。竹をとってきたのは同田貫だった。
始めの方は本当に和やかでした。僕の分は長谷部がとるって聞かなくて。毒見なんていらないだろってみんな笑ってて。
最初に気付いたのは後藤でした。後藤は前の方を秋田や五虎退に譲って殿の方にいたので、そこまで他の誰も気付かなかったのはおかしいんだ。
後藤が叫んでひっくり返りました。どうしたのか聞いたら、素麵じゃなくて白っぽくて長い髪の毛の束が流れてきたって言うんです。その頃のうちには、小狐丸も江雪も白山もいませんでした。色が薄くてもせいぜいが五虎退くらいです。長くはない。どこから流れてきたって言うんだ。
咄嗟に箸を引いたから髪の束は流れて行っていったっていう。でも、取り損ないの受け桶にはそんなものありませんでした。僕たちは気のせいだってことにして、流し素麺を続けました。でも、上流で、下流で、みんなが流れる白い髪を見たと、だんだん
……
。
不幸中の幸いで、だれも間違って口に入れたりはしませんでした。本当に、それだけは助かった
……
。
ついに、僕の分をとっていた長谷部がその白い髪束を掴みました。すごかったです。掴んだと思ったら予備動作なしでお箸とお椀を投げ捨てて、何のためらいもなく竹を真っ二つに圧し切りました。
そのあとは、まあ、軽くパニックですよね。長谷部が何故か竹刀とか持ち出して、お説教する体育教師みたいでした。
結局、原因は竹でした。同田貫が採ってきた。うん、よりによって、近所の墓地からとって来たんです。そりゃあダメでしょう。変なことになるでしょう。
「結局、同田貫はそのあと一週間ぐらい道場の床掃除をひとりでしてました」
あれから、素麺は本当にダメなんです。
本当に悲壮な顔で語ったのだった。
私に出来たのは、刀剣男士の情操教育の重要さを示す資料として報告書にして担当さんに提出し、臨時ボーナスを狙えとアドバイスすることだけだった。
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