あけみ
2023-05-02 21:54:59
15102文字
Public SPN(小説)
 

【SPN】平行世界のラビリンス【C/D】

※※S14迄のネタバレ含みます※※
S4キャス×S14ディーン。
少し変わったタイムスリップものを書きたかった。本当は本として発行したかったのですが、書いているうちにどうも書きたいものとは違うものが出来上がりそうだったので、一旦お蔵入りにします。
未完成ですが、せっかくなので。オンイベのさわマルにて展示しております。

   

【再び】


 理解できない御託を並べる神――いや、神と呼ぶのも虫唾が走る。
 ディーンは目の前のチャックを睨んだ。先ほど抱いていた嵐のような理不尽な怒りは、チャックが現れたことで矛先が変わる。膝を付いたジャックに向けていた銃を捨てた。ジャックは瞳を緩ませディーンを見上げた。メアリーを故意に死なせたわけではないのは充分に理解していたが魂が無いジャックの無頓着な無邪気さにどう受け止めたら良いのか分からなかった。ただ、自己喪失したジャックに、自分でも処理できない怒りをぶつけ、蹴りを付けるのは間違いだ。
 この世に生を受けて、まだ二年だ。自身を怪物だと認め、許されない罪ならば死を望んだ子を前に、銃口を突き付けて殺せと指示したのは誰か。他ならない神だ。
 顔を上げ、チャックを睨んだ。違和感は拭えない。ディーンは何故、と目の前にいる男に問う。
 その問いにチャックは何と答えたのか。銃を手放したディーンの態度に不満を募らせ「ディーン・ウィンチェスターは殺し屋であるべきだ」と言い放つ。その声質はディーンが聞いたモンスターの中でも邪悪さが勝っていた。
 目の前にいる魔物は本当に「神」か?
 悪寒を感じたディーンは一瞬、怯んだ。筋書き通りに動かない人物に対して癇癪を起す彼は異様だ。そうして、チャックから距離を取ったディーンの直感は正しかった。理解する前に、彼は意地悪い笑みを浮かべ指を鳴らす。
 やめろ、と叫んだのはカスティエルかサムだったか。目も眩むような光が放たれ、ディーンの視界は暗転する。

   ×   ×   ×

 次に目覚めた時、ディーンはパニックを起こした。真っ暗な狭い箱の中に閉じ込められている状況に、瞬時にマラクの箱の中にいるのかと錯覚する。しかし、中から箱を押し上げると、すぐに崩れ落ちる。箱は脆く腐っているようだ。さらに、割れ目から土が入ってくる。このままだと生き埋めだ。ディーンは土をかきあげ、すぐさま脱出する。これは、覚えがある。棺の中にいること、地に埋められていることを把握したディーンは、地面から這い出た。
 顔を上げ、外気に触れたことでホッと安堵する。外はまだ夏の陽気を感じさせ、肌に太陽の光が照り付ける。
「どういうことだ……?」
 サム、キャス、と声を張り上げたが、出た声はまるで長い間、発声していなかったような掠れ声だ。膝を付き、ゆっくり起き上がる。周囲を見渡せばすぐに異変に気が付いた。自身が埋まっていた個所を中心に周りの木々が全て倒れているのだ。まるで、大きな力がディーンに向けられ放たれたかのように。最後にいた場所は墓地だったが、土から這い出たこの場所は明らかにレバノンではない。町から離れた郊外だったが、太陽は頭上にある今は昼間だろう遠くから車が走る音が聞こえた。
 喉が酷く乾く。暑さが滲み汗がしたたり落ちた。
 鼓動が高鳴る。既視感があることが気味悪い。傍にいたはずのサムとカスティエル、ジャックすらいないことに不安が募るが、すぐにこの場から離れた方が良いことは確かだろう。
 ディーンは歩いて道路が見える場所まで辿り着くと、ガソリンスタンドと小さな売店を見つけた。訝しんでから再び既視感を覚えるも、無理やり拭い去る。
 閉店しているのか、窓に近付き店の中を覗く。店員が不在だと確認し、クローズの札を押しやってから拳に上着を巻き付け、扉のガラスを割る。侵入してから少し気が引けるがレジの現金を盗む。店売のペットボトルの水を掴んでから飲み干した。それから腕を伸ばし、目の前の雑誌を――手にしてから眉を寄せる。今度は思い過ごしではない。自身の一連の行動は、既視感以上のものだ。
……まさか」
 雑誌に伸ばした腕を引っ込めると、新聞紙を掴んだ。『2008年9月18日』日付を確認すると、絶句した。顔を上げ、鏡の前に立つと、それは確信に変わる。
「嘘だろ……
 目を丸めたディーンは、鏡に映る自身の姿が11年若返っている上に、左の肩にはカスティエルの手形がくっきり浮き出ている姿を漠然と見つめる。タイムトラベルは初めてではないが、これは意味が違う。このような途方もないことができる者はそういない。神の力が関与していることはすぐに知れた。最後に見たチャックの薄く笑んだ顔が浮かび、ディーンは舌打ちする。何故、地獄から蘇った日に戻したのか分からないが悪趣味にも程があるだろ。
「キャス……?」
 ディーンはハッとして顔を上げた。目の前に置いてあるテレビの電源が付く。モニタからは砂嵐が流れると同時に窓ガラスがガタガタと震えた。
「まずい!」
 ディーンは咄嗟に両耳を塞ぎカウンターの下に潜り込む。頭が割れるような声が耳を塞いでも聞こえてきた。脳内を揺さぶられる声は覚えがある。カスティエルだ。
「キャス! やめろ!」
 そう叫ぶも、声は鳴り響き、ついに窓ガラスを割る。ガラスの破片が飛び散り、ディーンは身を屈めた。手加減をしらない天使の声は無抵抗の人間には被害が大きすぎる。
「俺はお前の声が分からない! ジミーの身体で会いに来い!」
 命令口調で叫んだ後、理解したのかカスティエルは静かになった。ジミーを器にしろ、とポンティアックに向かわせたことに罪悪感が一瞬過る。ジミー・ノヴァックが辿った人生を知っているからだ。
 しかし、この状況はますますディーンに赤信号だと伝える。
 振り出しに戻った。まるで、神が仕掛けたボードゲームだ。
 ディーンは舌打ちしてから外にある電話ボックスからサムの携帯電話とボビーの番号にかける。記憶通りサムとは繋がらず、ボビーは電話口から懐かしい無愛想な声が聞こえると、ディーンは鼓動を高鳴らせた。ディーンの名を聞いた途端、ボビーは電話を切る。冷たくあしらわれるも、想定通りの対応にディーンは確信を得る。
 振り出しに戻ったのなら、助けられる人がいるということだ。
 電話ボックスの棚から電話帳の裏紙を引きちぎる。そこに名前を連ねた。パメラ、エレン、ジョー、アダム・ミリガン親子。そして――ジミー・ノヴァック。黙示録を防ぐ途中で死んだ者たちの名前だ。
(まだ助けられる)
 握りしめたペンを棚に置いたディーンは顔を上げる。先にボビーの所に行くのが良いだろう。決心すると、車を盗みサウスダコタのスーフォールズまで走行する。
 2008年に飛ばされたのはディーンだけだと考えるのは妥当だろう。元の時代に戻る術もない。不安が過り、左肩にある彼の手形に触れる。
(キャス……
 カスティエルも最初に会った頃の命令に忠実な天使に戻っているはずだ。融通が利かないカスティエルを味方にできるのか。以前、両親が生きているという願いが叶った世界にした時、カスティエルはディーンの話に全く耳を貸さなかった。あんなふうになるのは御免だ。
 ボビーにどう説明すれば良いのかも分からない。スーフォールズに続く道を走行しているうちに、見慣れた敷地に辿り着いたのは数時間後だ。エンジンを切り、顔を上げる。
 あの頃と変わらないボビーの廃車置き場とガレージがある敷地内に辿り着けば、迷いは無くなった。ディーンは決意して車から降りる。
 扉を叩き玄関で出迎えたボビーは、聖水をディーンの顔にかける。銀のナイフを肌に一筋、薄く切り血が出たことを確認した後、テストをクリアするとボビーは熱い抱擁を交わした。この感覚も懐かしく、ディーンは思わず涙ぐむ。
「あれから4カ月だ。どうやって戻った?」
 リビングルームに通され、困惑するボビーの言葉を聞きながら溜息をついた。
「話しても信じないだろ」
「おい、お前の死体を見た。サムは発狂する寸前で死体は燃やさず埋めたんだぞ。悪魔と取引するなとサムに約束させて4カ月だ。何をして戻ってきた? 今なら無茶苦茶なことでも信じられる」
 ボビーは地獄でディーンが愚かな契約をして戻ってきたと思っているが、本当のことはそれ以上に面倒で複雑なものだ。俺は11年後のディーンで、向こうで神を怒らせてここに飛ばされ復活させられた。などと、どう説明する気だ? 顔を上げればボビーは腕を組み、こちらを睨んでいる。チャックの目的が分からない今、本当のことは言えない。ディーンは深い溜息をついた。
「俺を復活させたのは、天使だ」
 言いながら、左肩にある手形に自身の指を滑らせる。袖を捲り上げ、掴まれた手形をボビーに見せた。眉を寄せるボビーは、正気か? と、ジッとディーンを見つめた。
「何で天使が地獄からお前を助ける?」
「天使がいることには納得してるんだな」
 案外、あっさりとディーンの言葉を鵜呑みにするボビーに苦笑する。過去のディーンは天使の存在を否定し、ボビーもまた悪魔を想定していた。
「天使の伝承はたくさんある。ただ、ハンターは誰も会ったことがない。お前は地獄に行って戻ってきた。そんなハンターは今まで聞いたことがない」
 言いながらボビーは書斎の棚にいくつか本を持ってくると、机の上に乱雑に置く。開いたページには天使が地獄に堕ちた魂を掴んで引き上げる挿絵がある。ディーンは頷き、ボビーに顔を向けた。
「俺は……ルシファーを復活させる第一の封印を解いた」
「何だと?」
「66ある封印の第一の封印だ。地獄で40年いた。そのうちの30年はあらゆる拷問に耐えたが、後の10年は……地獄に堕ちた人間の魂を拷問する側に回った。それが第一の封印を解く鍵だった」
 あの頃より冷静に答えられたことに息を付く。息を吸い込み、伏せた視線からふと、ボビーの顔を見上げた。そこには愛情深い哀愁に揺れた瞳を向ける彼がいた。突然、ボビーに優しく抱きしめられ、ディーンは目を丸める。頭を優しく撫でながら耳元で囁かれるボビーの声は震えていた。
「ちくしょうが! ディーン……っ、地獄で40年もいたらとっくに気が狂うっていうのに、地獄の拷問を30年も受けた痛みは想像できない……すまなかった」
……なんで謝るんだよ」
「わしらでお前さんをもっと早く蘇らせたらよかった」
 ディーンは微笑み首を振る。
「いや、どちらにしろ、俺は封印を解くように仕組まれていた」
「どういうことだ?」
 ボビーはディーンの肩を離すと眉を顰めた。ディーンはそれには答えず、サムのところに行くことを提案する。
「悪魔たちはルシファーを復活させるために封印を解きに回っているのか?」
 頷くディーンに、ボビーは眉根を歪め「まるで戦争が始まるみたいだ」と喚く。
「ああ……サムの周囲に警戒しないと」
「サムに何か関係があるのか?」
 ボビーの疑問に、ディーンは表情を曇らせた。サムがルシファーの器であることを伝えるべきだが、今は混乱を避けるため多くは語らない。
 サムの追跡は簡単だった。念のため、最後に使用した携帯端末からサムの行動範囲を浮き上がらせ、ミシガン州ポンティアックにいることが分かった。サムが新たに購入した携帯端末を把握しているディーンは追跡システムで町にあるモーテルまで突き止める。あまりにも簡単に居場所を割り出せたディーンに対して、ボビーは終始、感心と疑いが混じった視線を向けていた。サムの行動は把握していると言ったがボビーが納得していないのは確かだ。
 モーテルのカウンターで部屋を聞き出したディーンは、扉をノックした後に顔を覗かせた女の存在を失念していた。タンクトップとパンツ姿で出くわした彼女はルビーだ。
 ディーンは、自身がどう反応すべきか迷った。ルビーは一瞬、眉根を寄せるとピザの宅配を頼んだことを口にしたが、その背後でサムが動きを止める。
「ディーン……?」
 サムの反応は記憶にある通り、あの日のままだった。サムは警戒心をむきだしにルビーのナイフを振り上げたが、ボビーが「本物のディーンで間違いない」と割って入る。ディーンが頷くと、驚いたサムだったが次の瞬間、力強いサムの腕に包まれた。
「ディーン、ずっと蘇らせる方法を探していたんだ! ゴメン、僕は何もできなかった……誓って取引はしてない」
「わかってるよ……
 ディーンは寂しさにも似た情を揺らした。このサムはまだ悪魔の血に固執しており、隠し事を突き通す。ディーンがいない間、迷い必死に抗いながらも隣にいる悪魔の甘い言葉の毒を鵜呑みにする。悪魔の血を飲むのを止めろと、説得しても容易に受け入れられないだろう。この場でルビーを不意打ちで仕留めることも脳裏に過らせたが、ここにいる間は慎重に行動した方が良いと直感が警告する。
 ディーンは優しくサムの背中を撫でる。
 仲間が必要だ。この世界が過去の時空軸なのか、チャックが見せる幻想世界なのか、どちらにしろ、自分ひとりだけでは決して元の世界には戻れないことは確実で、それならもう一度、黙示録から世界を救う為に抗ってやろう。今度こそ、死ななくても良かった人たちを救う為に。それこそが、チャックの思惑通りであってもだ。ディーンの表情に暗い影が圧し掛かる。
「ディーン、大丈夫か?」
 顔を覗き込んだサムの瞳はただ純真で若々しく見えた。ディーンは苦笑し、弟の髪をくしゃくしゃっと撫でつける。
「ああ、平気だよ」
 安堵するサムの表情を見つめながら、これから起こる辛い出来事からどれだけ守れるのか。これを第二のチャンスと捉えるべきか、まだ分からない。
 横を通り過ぎるルビーを黙って見送り、ディーンは彼女の後ろ姿を睨む。サムとルビーはこの場を偶然知り合った一夜限りの関係だと装った。口から零れ落ちそうになる愚痴を飲み込んで、ディーンはサムとボビーに視線を向ける。
「俺を地獄から蘇らせた奴と話をして協力し合わないと、俺たちに勝ち目はない」
 そう言ってから、左肩の手形に触れた。
「話をして協力って……誰が蘇らせたのか分かってるのか?」
 サムは困惑した表情でディーンを見つめる。
「ああ、天使カスティエルだ」
 天使と聞いてギョッとするサムだったが、真剣なディーンの瞳を確認すると黙した。天使の名前を把握していたディーンに、ボビーは何か言いたげだったが、溜息をつくだけに留まる。そうして、「霊能力者の伝手がある」と提案したが、ディーンは首を振る。
「いや……俺たちはここで待つ」
 ここがポンティアックなら、ジミーの自宅がある場所に近い。カスティエルは必ず現れると、ディーンは確信している。ボビーにはスーフォールズに戻ってもらい、後日落ち合う約束をする。
……分かった。その時には全部、話してもらうぞ」
 ボビーはそれ以上問い詰めないが、ディーンが多くを語らないことに気付いている。頷くディーンに、サムは疑問に首を傾げながら会話に割って入るので、ディーンはボビーを見送ってから場所を変えようと、提案した。


 夜の21時のダイナーは客も少なく込み入った話をするのに丁度いい。もちろん、悪魔が待ち構えているダイナーを避け、ディーンはモーテルから少し離れた場所にある店に入った。
 愛想の良い婦人が出迎え、ディーンはメニューからカリカリベーコンのハンバーガーを頼んだ。脂質たっぷりの夕食にサムは眉を寄せたが、生き返った後の最初の食事ということで苦言は飲み込まれた。
 食事の合間にディーンはボビーに話した内容を同じくサムに伝える。話しを聞いている間、サムは息を飲み言葉を詰まらせた。
「嘘みたいな話だろ?」
 ディーンがそう言い放つと、サムは首を振る。
「いや、信じるよ。ディーンは天使に助けられたってことだろ?」
 それって、良いことだよね? と、サムは純粋に問うので苦笑するしかない。
 ディーンはどうしてもチャックの掌で踊らされている気がして嫌気がさす。地獄に堕ちたディーンを天使はすぐに救い出せたのに、第一の封印が解かれるまで高みの見物だった。結局、ルシファーの封印は解かれてからもミカエルの器でしか物事を考えていなかった。ディーンとサム、そしてカスティエルは、ずっと世界の危機に抗って戦ってきた。それもシナリオ通りだとしたら? チャックはディーンを過去に戻し、黙示録の第二ラウンドをやろうとしている。この世界でも己は操り人形になるのはごめんだ。
「ディーン、聞いてるのか?」
 サムの声に思考を遮られ、ディーンは空返事をする。ハンバーガーを完食し、胃袋は満足したが元の世界にいるサムやカスティエル、ジャックのことが脳裏に過る。残された彼らが無事であることすら、今のディーンにも分からない。両手で顔を覆ってから不安を拭い去る。顔を上げたディーンは、サムを見やった。
「ああ、聞いてる。今は、カスティエルが現れるのを待ってみる」
「その天使は、向こうから姿を現すのか?」
 期待と不安が入り混じった表情のサムに、ディーンは微笑んだ。
「そうだな。一晩、待って……現れなかったら、祈る」
「祈る? 兄貴が?」
 サムは目を丸めた。
「ああ、祈る天使はキャスだけだ。他の奴には祈るなよ」
 ディーンの忠告は不可解なものだとサムは思うだろうが、祈りは天使に届くことは立証済だ。ここで無暗に天使と交信するのは避けたい。今のサムに念押ししても理解できないだろうが、致し方ない。
 一晩泊まるモーテルを探し、カスティエルと合流した後スーフォールズに向かうことをサムに伝える。

 モーテルでツインを取った一室。ディーンはチラリとサムを横目で見つめる。ダイナーを出た後もインパラの助手席でサムが携帯端末を弄り誰かと連絡を取り合っているのが見て取れた。おそらく、ルビーだ。
「サム」
 ツインのベッドがある部屋で荷物を置くと、ディーンは改めてサムに言い聞かせた。
「悪魔とつるむのはやめろ」
「え? 何?」
「隠し事をするな。ルビーだろ」
 名を出せばサムの表情が凍り付く。そこには罪悪感とディーンに寄せる疑念が混じっていた。サムの言い訳を聞きたくないディーンは続けて言い放つ。
「知ってるんだ、サム。悪魔の血のことも」
……どうして」
「俺は地獄にいたんだ。そういう話も耳にしている。お前がルビーと組んで悪魔の血を飲み続けて超能力で狩りをしているってな」
 もちろん、そんな話は地獄では聞いていないがディーンはこの世界で再びサムが悪魔の血の依存症の中毒になる様を見たくなかった。サムは眉を寄せディーンに憤怒する。
「ディーンには分からないよ! ディーンがいなくなったあと、僕は滅茶苦茶だった。一人で打ちのめされた時、ルビーが助けてくれたんだ」
「サム、ルビーはお前を利用してるんだ」
 悪魔がルシファーの復活を目論み封印を解いて回っていることを知ったサムは、ルビーを信用していないと言ったが、悪魔の力を狩りに利用することには懐柔的だ。
「悪魔の血で汚れている僕ができることは、この力を良いことに使うことだ!」
「サム、俺を見ろ」
 サムの頬に手を伸ばし視線を合わせた。
「いいか、お前は汚れてない。俺なんかよりずっと強くて希望に溢れてる誇りの弟だ。お前は悪魔の血なんか飲まなくても充分強いんだ」
 ディーンの言葉を聞き、一瞬、息を飲んだサムは怪訝に眉を顰める。
「なんだか……10歳以上年上みたいな言い方だ」
「そりゃあ、40年地獄にいたからな」
……笑えないよ、ディーン」
 苦渋に表情を曇らせ、サムは視線を伏せる。
「サム、頼むから悪魔の血に頼るな」
 ディーンは、かつてカインの刻印があった自身の腕に触れながら言葉を零す。
「悪魔の力に頼ると精神に影響が出やすい。少しずつ心が死ぬんだ。俺にも覚えがある」
「ディーンにも?」
……ああ。悪魔の力を得ると、戦闘能力が高くなり自信が沸いて心身共に高揚する。気持ちがいいけど、その分、人の心を失っていくんだ。分かるか? 使えば使うほど魂を蝕んでいく」
 言葉にしながら、今なら理解できるとディーンは過去を思い起こす。自身もサムも目的のためなら手段を選ばなかった。犠牲にしてきたものが大きすぎた。死ぬ必要はなかった人たちを取り戻せるなら、今かもしれない。
 黙示録を止めるためにサムが犠牲になることはない。地獄の穴にルシファーとミカエルと共に堕ちる弟の姿をディーンは二度と見たくないのだ。
……分かったよ」
 ポツリと呟かれたサムの言葉にディーンは顔を上げた。サムは真摯にディーンの訴えを受け入れ、悪魔の力を使わないと約束する。緊張で固まっていた肩はホッと安堵し、緩んだ。隣のベッドに腰をかけ、サムは首を傾げる。
……ねぇ、今の話、地獄にいた時のこと?」
 何があったんだ? と、先ほどのディーンの真剣な訴えに違和感を覚えたのか、サムは怪訝に表情を歪めた。
……そうだな。昔の話だ」
 会話をはぐらかしたディーンは、ベッドに寝転ぶ。先にシャワールームをサムに使わせると、多忙な一日にすっかり疲れ果てその場で眠ってしまった。
 そうして、奇妙な夢を見る。
 血の匂いが濃く鼻をかすめる。ディーンは握っていた血に塗れたナイフを捨てた。アラステアの嘲る声が耳元で囁かれる。地獄で拷問をする悪夢は何度も見ている。これも知っている悪夢の一つだ。この後、アラステアに背後からナイフで一突きされるのだ。しかし、衝撃を待とうとも、それはやってこない。
 振り向き顔を上げると、カスティエルがアラステアとディーンの間に割って入り、肩を強く掴まれた。
「キャス……!」
 ディーンはカスティエルに向かい合う。大きな光の塊の中に翼が見えた。騒々しかった地獄の音も消え、世界は静止したように静かだった。ディーンはカスティエルが自身の肩を掴み地獄から引っ張り上げた時の記憶は無い。眩しい光に目を細める。本来のカスティエルの姿は見る者の目を焼くのだが、ディーンは無事だった。
「正義の男は救われた」
 カスティエルはそう言葉を綴ると、ディーンを強く引っ張った。その力は強く、焼けるような匂いと共に肩が痛んだ。浮遊感とカスティエルの腕に包まれる感覚を魂で感じた。
「美しい……魂だ」
 痛みに顔を歪ませたディーンの頭上から、感嘆とする声が響いた。その時、カスティエルに魂を撫でられた。声を上げたディーンは背を撓らせる。それは、まるで愛撫のようだった。ベッドの中で感じるものと同じ。喘ぐ声が自身の口から放たれ、身体が浮上する。カスティエルがディーンのベッドを共にし、逞しい腕に包まれた時のことが思い出される。その時も今のような愛撫と心地良さに恥ずかし気も無く息を漏らしたのだ。夢心地に感じ入ると、「ディーン・ウィンチェスター」と囁く低い唸る声がディーンを揺さぶる。
「君の言う通り、ジミー・ノヴァックを器にして会いに来た」
 今度は夢の中ではなく、はっきりと現実に聞こえた声だった。ディーンは飛び起きる。
 鼓動がうるさく耳に響く。呼吸が落ち着くまで胸を撫でながら隣のベッドに視線を向ける。そこには、眠っていたはずのサムの姿はなく、代わりにスーツの上にトレンチコートを着たカスティエルが座っていた。
 サムがいないことに不安がるべきか、カスティエルが本来より早く目の前に現れたことに安堵すべきか迷う。ディーンは「キャス……」と言いかけ、「カスティエル」と、名を放つ。
「君は私の名を知っている」
 カスティエルは怪訝に首を傾げた。その仕草に、ディーンは思わず笑みを浮かべる。
「ああ、知ってるよ。俺を地獄から掴んで引っ張り上げた天使だろ」
「その通り」
 頷いたカスティエルは、どこか誇らしげに胸を張っているように見える。
「キャス……サムはどこだ?」
 ディーンはベッドから立ち上がり、窓際に歩む。カーテンの隙間から外を覗き込むと、駐車場にサムとルビーが密談している様子が見えた。
 悪魔の血は飲まないと、約束したはずがルビーと逢引している現場を目のあたりにすればディーンも黙っていられない。
「サム・ウィンチェスターと悪魔の繋がりは早めに断つべきだ」
 背後にいるカスティエルが言うと、ディーンは向き直り「分かってるよ!」と返答してから椅子にかけていたジャケットを羽織ると外に出る。
「サム! そいつから離れろ!」
 駐車場のそばに立つサムとルビーを見やり、ディーンは叫んだ。肩を揺らしたサムは、振り向き一歩下がる。
「ディーン、」
「サム、悪魔の血は飲まない約束だろ!」
 言いながらディーンはルビーを睨む。サムの手にはスキットルが握られている。おそらく、悪魔の血が補充されている。
 どのような言葉で弟を誘導したのか考えるだけでも虫唾が走る。ルビーはディーンよりも背後にいるカスティエルの方を警戒しているようだった。
「ディーン……けど、封印が解かれる前に悪魔を葬り去るべきだ」
 サムの言葉に眉を寄せた。
「封印のことを話したのか?」
 ディーンの問いにルビーがニヤリと笑む。ルビーこそがルシファーの封印を解くために奔走している悪魔だというのに、力を手に入れなければ救えない、とでも説き伏せられたのだろう。ディーンの傍にいたカスティエルが動くとルビーが身構えているのが分かった。
「サム・ウィンチェスター、これ以上魂を汚すな。悪魔の血に溺れるなら我々がお前を仕留める」
 冷たく言い捨てるカスティエルに、ディーンは諫める。
「そんなことさせない」
 ディーンに鋭い視線を向けられたカスティエルは怪訝に眉根を顰めた。まるで不可解な感情だと言うようにディーンを見つめるカスティエルの視線は、天使の兵士そのものだ。この堅物な天使を己はどうやって懐柔させたのか今思えば奇跡のようだ。
 サムはというと、カスティエルの動向に警戒心を募らせていた。
「彼は誰だ?」
 そう言うとサムは、視線を向けながら緊張に体を強張らせる。
「あいつ、天使よ」
 ルビーが答えると、カスティエルは片手を上げルビーに向けた。後ずさりするルビーは叫んだ。
「私は味方よ! 封印が次々と解かれているのは悪魔だけの仕業じゃない。お前は知ってる?」
 動きを止めたカスティエルにディーンは表情を歪める。ルビーが言わんとすることに気付くも、喋り続ける悪魔の口は止められない。ルビーは一瞬の間を好機と見てカスティエルに言い放つ。
「黙示録を起こしたいのはお前たちも同じってこと。封印はいずれ解かれる。今は力を補った方が得策」
「黙れ。我々、天使が封印を守っている。お前たち悪魔が破っているのだ」
「天使が守っている封印を悪魔が易々と解けるとでも? 悪魔は天使よりずっと弱い。お前たちが悪魔に封印を解かせているんじゃないの?」
 ルビーが放った言葉は充分にカスティエルを苛立たせ、恩寵を籠めた光を掌に宿すも、サムがルビーを庇い前に出た。
「その話は本当か?」
 鋭い視線をカスティエルに向けるサムは返答を待つ。ディーンはチラリとカスティエルを見やった。彼の表情は確かに分かりにくいが、眉間に皺が寄っているその表情は困惑しているのをディーンは気付いた。やはりカスティエルは細部まで状況を知らされていない。ザカリアくらいの上官でなければ黙示録の真の目的を把握していない。
 ディーンはカスティエルの腕を下がらせる。
「俺がルシファーを地上から出さない」
 自信に満ちた言葉を言い捨てると、ルビーは声に出して笑い出す。
「最初の封印を解いた張本人が何を言うの?」
「だから、俺が止めると言っているんだ。天使たちが俺のことを何て言ってるかお前、知ってるよな?」
 そう、カマをかけてやると、思った通りルビーは言葉に出さなくても驚愕に揺れる黒い瞳が物語る。ルシファーとミカエルの器のことを知っている顔だ。ディーンは心中で舌打ちをする。まずいな。
 リリスの居場所を早めに突き止める必要が出た。ディーンとルビーは互いに睨み合ったが、先にルビーが踵を返す。
「サム、私は貴方の味方だから」
 言い捨てるとルビーは走り去る。
 逃げ去る悪魔を仕留めたがっているカスティエルを止めてから、ディーンは溜息をつく。サムはこちらに向き直ると眉を吊り上げた。
「ディーン、今のどういう意味? 僕やボビーに言っていないことがあるよね?」
 当然の問いだが、ディーンはサムにスキットルを捨てるように指摘した。
「それを、俺の目の前で捨てろ。じゃないと答えられない」
「ディーン!」
 サムは苛立ったが、カスティエルの視線もあり承諾するしかない。スキットルの口を開け引っくり返す。入っていた悪魔の血が地面に捨てられた。空になったスキットルを確認し、ディーンは頷く。
「正義の男」
 カスティエルが代わりに答えた。
「天界ではそう呼ばれている。最初の封印を解いた正義の男はルシファーをその剣で地獄に送り返すと」
 言い終えると、カスティエルはジッとディーンを見つめる。まるでその資格があるかどうか見定めているような、それだけではない熱烈な視線も感じた。「美しい魂だ」とカスティエルの言葉が脳裏に過り、ディーンは赤面する。忘れていたが、出会って間もないカスティエルは、ディーンをじっくり魅入るように見つめてくるのだ。カスティエルから向けられる視線を無理やり無視した。
「けれどそれは、封印が解かれルシファーが地上に出ることを意味している。俺は、ルシファーを檻から出すつもりはない」
 言いながら、ディーンは意を決してカスティエルと視線を合わせる。
「破られる封印を阻止させるために、お前はここに来たんだよな?」
……君は、どこでそこまでの情報を?」
 眉を寄せるカスティエルはディーンから目を逸らさない。黙ったままのディーンに答えを期待しているようには思えないその視線を逸らせたのはサムの一言だ。
「天使がわざと悪魔に封印を解かせているって本当?」
 カスティエルは表情を曇らせる。
「その件はこちらで調べる必要がある」
 飛び立とうとするカスティエルに、ディーンは咄嗟に腕を掴んだ。
「キャス! 俺は本気だ」
 お前は、俺を助けてくれるか? と、無言で問いかける。再び視線が絡み、背筋がゾクリと粟立つのを感じる。
……私は君の守護天使として遣わされた。その想いに答える」
「信じてるからな。」
 カスティエルは翼をはためかせる音と共に姿を消す。
「彼は本当に信用できるの?」
 ディーンとカスティエルの間にある言い表せない関係を感じ取ったサムは、訝しむようにディーンを見つめる。
「この世界で唯一、信用できる天使だ」


   

【夢】


 ディーンはバンカーにある自室のベッドで眠っている感覚を味わう。低反発マットレスの居心地良さと、抱きしめられる温かさに瞼を上げる。
……キャス」
 自身の寝顔をずっと見ていたのだろう、カスティエルと目が合い、ディーンは思わず笑みを浮かべた。同じベッドに添い寝する仲になったのはいつだったか。苦笑してから、「俺の寝顔をずっと見ていたのか?」と問う。
 すると、目を細めて愛おしく微笑んでいたカスティエルの表情が初対面の頃と変わらない彼と入れ替わった。
……奇妙な夢だ」
 無感情に呟いた言葉は、錯覚から目を覚ますためには充分だった。ディーンはベッドから起き上がると、パーソナルスペースを無視して座っている目の前のカスティエルを睨んだ。
「人の夢の中に入って来るな!」
 景色はまだバンカーの自室だった。ここはまだ夢の中だ。だがディーンは、11年前の世界に飛ばされたこと、モーテルのベッドに眠りに落ちたことを思い出す。そう、ここには甘い顔をして微笑むカスティエルはいない。サムは悪魔の血に執着しているし、黙示録へのカウントダウンが開始している世界だ。顔に熱が籠った表情のままカスティエルを睨んだディーンは瞳を揺らす。
「なぜ私は君と共にベッドで眠っていたんだ?」
 ディーンの思いとは裏腹にカスティエルは容赦しなかった。真剣な眼差しで心底理解できないという表情で問いかけた。ディーンは瞳を伏せ、握りしめた拳が震える。
 ディーンとカスティエルの関係は友でも家族でも言い表せない。傍にいた年数と共に信頼と絆を築いてきた。お互い抱いていた好意が無視できないところまできたとき、やっとの思いで二人がお互いに「愛している」と伝えあったことも、世界から引き離された今、全部なかったことにされた。目の前にいるカスティエルはまだディーンと二日しか会っていない。何と返事をすれば良いのか。
 ディーンをとことん追い詰めたいチャックの笑みが浮かび、苦虫を嚙み潰したように表情が歪む。
「今のお前には理解できないよ」
 ポツリと呟いてからディーンは溜息をつく。ふと、顔を上げると景色が変化した。湖がある水際の小橋の上。過去にカスティエルが現れたあの日の夢と同じ景色だ。カスティエルが内密に接触してきたあの日も伝言があるとディーンの中に侵入した。思い出が連動したのだろう。ここはまだディーンの夢の中だから。
「それで、俺に何か伝えに来たんじゃないのか?」
 カスティエルが夢の中に現れた理由を問うと、目の前の天使は姿勢を正して頷いた。
「封印を守っていた天使たちが立て続けに殺されている」
「ルビーが言った通り天使が天使を殺しているんだな」
……そうだ。胸を刃で突かれた天使の器が倒れている現場を確認した。あれは悪魔の仕業ではない」
 天使の剣で突かれた痕だ。とカスティエルは付け加える。
 ディーンは眉根を寄せる。思っていた以上に封印が解かれるペースが速い。
「66ある封印のうち、解かれていない封印はあとどれくらいある?」
 カスティエルは怪訝に眉を歪ませた。
「どこでその情報を得たのか、今度こそ教えてくれるか?」
 正義の男が地獄から復活してから数日。封印はまさにドミノ倒しのように次々と解かれている。しかし、ディーンの冷静さと既に備わっている情報網はカスティエルから見ても異様に映った。ディーンは黙ってじっくりカスティエルを見やる。これ以上、押し隠すのは逆効果だろう。
……分かった。俺の記憶を見ろ」
 そう伝えると、頑なだったカスティエルの表情に動揺が浮かび上がる。
「天使が人の記憶を覗けることを知っているのか?」
「ああ」
「記憶を覗いている間、苦痛を伴うことも?」
「ああ。言っておくが、初めてじゃないんだ。良いから、さっさとやれ」
 そう言ってから軽快にウィンクする。目を丸めるカスティエルと目が合い、ディーンは笑う。
 自身の頭に腕を伸ばすカスティエルに記憶をゆだねた。目を閉じ、ディーンは脳内をかき回される激痛に耐える。
 カスティエルの指がこめかみに触れる間、頭に電流を流されるように全身まで痛みが走る。表情を歪めるも、それはすぐに止まった。カスティエルがすぐに手を離したからだ。
……とても……信じられない……君は、道理で……
 驚愕に揺れた瞳はジッとディーンを見つめた。この11年間に体験したディーンの記憶の全てを知ったカスティエルは、それでも怪訝に表情を歪める。
……しかし、どうしても理解できない。私と君がそこまでの深い関係になる所以が」
 記憶を見た後に追求する事柄がそこか? と、ディーンは思わず顔を赤らめる。
「余計な記憶まで見るな! 今の状況のことを考えろよ!」
 そう叫ぶも、カスティエルは眉を寄せた。首を傾げるその仕草はディーンが初めて出会ったカスティエルのままだ。真顔で「私の行動原理も理解できない」なんて言うのだから思わず笑ってしまった。
「俺とお前がセックスしていることがそんなに理解できないか?」
 カスティエルに見せた記憶の中に二人の性的な交わりがある。確か、彼はまだ童貞だ。一緒に風俗店に入った時のカスティエルの様子を思い出し、苦笑する。堅物な天使が理解できるはずがない。
「いや、そこは理解できる。私は君に興味がある」
「へ?」
「セックスは互いを知るのに最も適したコミュニケーションだろう」
「は、」
 迫るカスティエルの顔に、ディーンは一歩二歩と後ずさりする。彼の視線は真っすぐにこちらを見つめている。余すことなくディーンの全てを知りたい探求心は情熱とも言い換えられる。
……キャス、近い」
 カスティエルは眉根を寄せた。
……君は私じゃない私を見ている」
 ディーンはギクリと肩を揺らす。そうだ。指摘された通り、先ほどからディーンが知っているカスティエルと、出会って間もない今のカスティエルが交互に過るのだ。
「えー……と、お前、もしかして、機嫌悪い?」
 眉間に皺を寄せるカスティエルの表情は、ディーンが良く知るカスティエルが見せる「機嫌が悪い」時の表情をしていた。
……意味が分からない」
 当の本人は無自覚だったようだ。ディーンは知った感情に笑い、思わず噴き出した。
「お前……、11年後の自分に嫉妬してるのか?」
 声を上げて笑うディーンに、カスティエルはますます機嫌が悪くなる。案外、表情が読みやすいと知り、ディーンは安堵する。自身が知るカスティエルと何ら変わらない。


web拍手


web拍手
fedibird>@cocoapoko
bluesky>@cocoapoko