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あけみ
2020-04-22 16:36:35
2354文字
Public
SPN(小説)
【C/D】手を繋ぐ
30日CPチャレンジのC/D編。
S4~S5イメージ。少しずつ惹かれあう二人の始まり。
Holding Hands/手をつなぐ
カスティエルは、ウィンチェスター兄弟が泊まるモーテルでベッドに腰掛けながらテレビを見つめていた。そこには、ディーンがよく見ている昼のメロドラマが映し出され内容が実に興味深いものだったので魅入っていた。女性が傷つき泣いているのを男性が優しく手を握り肩を抱いて慰めている様子が映っている。女性が落ち着くまでそばにいる男性の光景にカスティエルは納得するように頷いた。
(なるほど、人が傷ついた時の慰み方か。いつかディーンに実践してみよう)
地獄から魂を引き上げてからカスティエルはディーンの様子を見ていたが、彼はよく傷つき眠る時も悪夢に魘されていた。その痛みを癒すにはどうすれば良いのか分からずカスティエルはジッとディーンの寝顔を見つめていたことがある。飛び起きた彼に苦言を散々言われたが止められなかった。時々、夢の中に入り込むこともあったし恩寵の力で悪夢を消したりもしていた。だが、どれも効果は薄く起きたディーンは疲労を感じていたようだった。
今回もまた気を紛らわすための狩りを行う兄弟に同行したカスティエルだったが、モーテルに帰宅した彼らの様子から気を紛らわすどころか幾分情緒が乱れ落ち込んでいるのが見て取れる。カステェイルはテレビの電源を切り立ち上がった。
「どうした?」
言葉を発しない兄弟に声をかける。
「
……
別に。狩りは済んだからチェックアウトするぞ」
そう言ってディーンは溜息をついてから目を伏せる。隣のサムは何か言いたげだったが結局口を閉ざしたままだ。何かあったのだろうか。狩りは終わったと言うが良い結果ではなかったのだろう。彼が顔を俯かせ口を結ぶ表情は見覚えがある。救えたはずの命を取りこぼした時に見せる顔だ。カスティエルは眉を寄せた。
(また、君は傷ついているのか?)
「ん? 何してんだ?」
カスティエルはそっとディーンの右手に触れる。ギュっと強く握りしめれば、ディーンは怪訝に眉を寄せた。少し緊張した体はカスティエルの不可解な行動に対して困惑気味だった。
「
……
人は、こうされると落ち着くと聞いた」
先程テレビドラマで見たことを実践したカスティエルは、ジッとディーンを見やった。やっと今の状況を理解したのか、ディーンは突然腕を大きく振って繋いだ手を離そうとしたがカスティエルは許さなかった。
「おい! 今度は何のドラマを見た? 良いから離せよ!」
「しかし、君は今悲しんでいるだろ?」
この手を離すことは得策ではない。そう思ったが、繋いだ手から体温が伝わると同時に胸がざわめいた。ディーンの体温を感じた途端に器の不調に勘付いたカステェイルはパッと手を離す。
「ったく、なんだよ! お前は!」
ディーンはそう言うと隣のサムは苦笑する。
鼓動がまだ落ち着かない己の胸に首を傾げた。ディーンの頬が赤いのも気になったが、もう悲しんでいないことが分かり一安心する。カスティエルが見たかったのはそんな顔だったから。
× × ×
「キャス、大丈夫か?」
ディーンは顔色が悪いカスティエルに駆け寄り、毛布をかけてやる。狩りに同行したカスティエルは、残り少ない恩寵を無理に使ったため、今は人間とそう変わらない体力になった。無事に狩りを終えたがカスティエルの顔色も悪く熱も少しあったので、ディーンとサムは急いでインパラに乗せモーテル戻る。
ベッドにカスティエルを寝かせ、「少し休めよ」とディーンは不安に表情を歪める。隣にいるサムも不安に眉を寄せたが、「ここは兄貴に任せる」と言い先程部屋から出て行った。
「
……
ディーン、すまない」
「何言ってんだ。俺たちを助けてくれたんだ。けど、もう無茶するなよ」
天使だって死ぬんだ。ディーンはそう続けてから、途端に恐ろしくなった。グッと拳を握りしめ、腰掛けたままだったベッドから離れようとしたがカスティエルは袖を掴まれ踏み出した足は止る。
「
……
ディーン」
「どうした? キャス」
顔を向ければ、カスティエルの真摯な視線と合う。
「しばらく休めば恩寵は回復する。私は死なない。
……
だから、そんな顔をしないでくれ」
そう言ったカスティエルにディーンは目を丸めた。
「ばーか、病人がこっちを気遣うなよ。良いから寝てろ」
「ディーン」
「なんだよ」
答えてから、掴まれた袖から今度は指を絡めるように手を握られ思わず離れようと手を振ったが、カスティエルが掴む力の方が強かった。
「キャス」
「君がいた方が安らぐ。ここに居て欲しい」
カスティエルは目を閉じてそう言葉を紡いだ。対してディーンは手を繋がれたまま呆気にとられ、しばらくぼんやりと寝入った天使の寝顔を見つめていた。繋がれた手を見やって、ディーンは目を細める。そういえば、以前もこうして手を繋がれたことを思い出す。あの時の彼はまだ人との関わり方が分からず手さぐりで、けれどもディーンの一つ一つの言動に酷く敏感だった。変わらず己の情緒を察し指を絡めたそれに、随分と器用になったなと苦笑する。自然と手を繋がれたことに呆気にとられたが悪くなかった。
繋がれた手をそのままに、ディーンは近くの椅子に腰掛ける。伝わる手の温度が心地良い。天使も体温があるんだな。器の体温なのだろうが、今はもうカスティエルの身体だという認識はディーンにもあった。なんだかこちらも睡魔に誘われるまま寝てしまいそうだ。隣からは寝息が聞こえ、天使は寝ないくせになどと文句を口にしそうになりながらディーンは瞼を閉じる。
まさか天使が狸寝入りしているなどと思わずカスティエルが寝入った自身の顔を見つめていたと知るのはその2時間後だ。
fin
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