Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
sugu_yoru
2022-08-07 23:46:45
1823文字
Public
Clear cache
【天ヤマ】シンカイになってしまう大和5(サルシン)
アイナナ 天ヤマ 勉強中。ニカヤマさんが劇中劇の世界に飛ばされてしまいます。
続きます。
「
……
とりあえず今日は、外交の話をするどころじゃあないでしょ?」
「まぁそうだな。それには同意見だ」
「だとしたらもう解散。二人にはちゃんと客室を用意してあるから」
「え、シレーナの王様と同室?
……
まぁ全員を守りやすくって良いけれど」
「鋼鉄の星の、君の王様とだよ。もちろん寝室が多数ある一室を用意してある」
「やったー! じゃあシンカイみたいな君も、僕らと同じところで眠ろうよ」
腕を捕まれて「君の世界の話を聞きたいし」と微笑む彼は、自分の知っている同じ外見の青年と一見とても似通っている。しかし大和の腕を持ち上げた力がとても強く、するりと簡単に触っているだけに見えて、全然そうじゃあなかった、逃がすことを許さぬ力強さがあった。
「
……
っ」
「エリン、無理強いするものじゃあない」
「そうだよ、その子はもちろん今夜は俺のそばに置くよ。それがこの星では一番安全だからね」
そう言ってから、サルディニアはそばの女中に何ごとか囁くと、サッと三人はまるで天女のような出で立ちの女人たちに囲まれて、そのまま立つように促され、先にラーマの二人が大きな広間を出て行った。大和がどこか、不安な気持ちでその場に立っていると、ピタリとその背に手のひらが当てられた。
自分よりわずかに小さく、指が細いその手のひらには覚えがある。しかし大和が知っている『それ』より、少しばかり大人びて思える。大和はそれにゾゾゾと身震いして振り向くと、思ったよりも近くにサルディニアの顔があって、急いで正面に顔を戻した。
「さて、俺たちも行こうか」
「
……
はい」
大和は頷いて彼の前を歩き始める。両脇に並んだ女性たちの服の裾が、フワフワひらひらまるでさざ波のように震えながら大和を誘って行く。王宮の立派な柱の合間から空を見上げると、夜の帳はすっかりと落ちていて、見たこともない星座たちが紺色の空に光っていた。
夜の気配はたおやかで、水面を滑って宮廷へ流れ込んでくる風は、そのせいか冷たかった。白い、絹のカーテンが風で次々とたなびくのを、女性たちは波間を避ける子供のような足取りで、弾むように目当ての部屋へ向かっていく。
より、自分が余所の世界に来てしまった実感があり、大和は心許なくなった。すると、サラサラとした布の向こうから、体温が感じられるくらい近づいた賢王が囁いてくる。
「大丈夫、きっとすぐに戻れるよ。君とあの子がそれを望むならばね」
「
……
! 本当ですか?」
振り向くとサルディニアが笑っていた。その顔が、ここまで見てきた王様の姿よりずっと幼く見え、彼の人を思い出させる。サルディニアは指で前方を示し、部屋に着いたことを大和に教えてくれる。
大和が顔を前に戻すと、石造りの扉が開くところだった。先ほどの広間よりは落ち着いたサイズだが、ホテルのスイート・ルームくらいはある部屋が待ち受けていた(天井が高い)。きっとこの宮殿で、一番広い、居心地の良い美しい寝室。
開け放たれた木の窓の向こうでは、水がさざめき、先ほどの星々を映している。天と陸にそのきらめきが見えて、大和は美しさに思わずため息をついた。
バタンッと扉が閉まって、女人たちが下がったことを知り、どこかホッとしつつ、この美しい王様と二人きりになってしまったことに緊張がこみ上げてくる。
大和は木の窓の縁に添えた指先の震えを、無理矢理止めて振り向くが、サルディニアはそこにはおらず、薄い布で囲まれた寝台の向こうで気配がするのみだった。それでもわずかにつけている装飾品が、シャラシャラと鳴っている。
「君の寝台はこのすぐ横だよ。シンカイが普段使いしているところだ。先ほど手入れもさせた。それまで、酷い有様だったから」
声で示された丸いベッドは、大和には些かファンタジーで可愛らし過ぎた。仕方がないのでそこに横たわると、大和の身の丈に酷くぴったりだった。疲れていたのか、横たわると、一気に瞼が重たくなる。すると、その眠気を許さないようにサルディニアが話し掛けてきてしまう。
「さっきの話だけど、本当だよ。君、ここへ来るときに元いた場所から逃れたいような、そんな気分にならなかった?」
「咄嗟のことで、生憎
……
」
「あの子も、もしかしたらそうだったかも。俺たちはちょうど違う星への視察の話をしていてね、あの子は俺とラーマへ行きたがったんだ。しかし生憎この星を離れるわけにはいかない」
<続く>
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内