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sugu_yoru
2022-05-02 16:35:42
1865文字
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【いちじろ】僕らと二郎と七日間 三日目①【さぶじろ】
女体化した次男と、モンペになる長男三男。続きます。
SIDE 二郎 三日目 ①
パンパンに膨らんだ段ボールが届いて、カッターを持ち出してそれを開けたのも三男、物色するのも三男だ。二郎は自分が持っていたシンプルな白いTシャツと短パン(今の彼にしては長い)を身につけたまま、所在なさげにそれを見下ろしている。
「なぁんだこの布っきれは! シブヤのギャンブラーだったら問題ないかもだけど、山田家の秩序乱しすぎ」
そうぶつぶつ呟きながら、弟はバカスカ服を寄り分けていく。地味とかではないが、どこか露出の少ない、あっても健康的なものが次々と選ばれていく。『下着』と、ハートマークつきで書かれ(すごい丸字だ)付箋が貼られたショップバックに気づくと、それだけはこちらに黙って突きつけられた。
「み、見えないところのは何でもいいだろ
……
」
「三郎ぉ、俺は下着は別に男物でも」
「ばぁか! 上もちゃんとつけろ!!
……
その白いTシャツ、ちょっと透けてる」
そう言い残して、彼が思う『露出度の高い衣服』を袋に詰め直すと「一兄、これ!」だなんて言いながら事務所を出て行ってしまった。残された二郎は白いTシャツを見下ろして、自分の乳頭の位置が明確なことに気づいて、一人で赤面した。
「兄貴、どう?」
デニムのホットパンツにくるぶしソックス。上はいつものに似た黒い長袖シャツにスカジャン、腰にはチェックのシャツを変わらずに巻いている。一応出掛ける前に兄にチェックしてもらおうと思い、台所で作業をしている一郎に声を掛けた。
「そんなに、脚出す必要あるか?」
「三郎が、妙に隠すより健康的で色気が少ないんじゃあないかって」
「そうかぁ? う~
……
ん」
一郎は二郎の、長く、普段より色白い脚を足首からつけ根まで眺めると、「ま、要は外出しなきゃあいいんだよな」と自分で何やら納得して「いいんじゃないか? 似合ってるぜ!」と親指を立ててくれた。
「良かった、じゃあ行ってくるな!」
「は?」
「え?」
「学校は、騒ぎになるから休ませてるだろ? 何しに外に出るんだ?」
と、一郎は至極不思議そうに首を傾げる。
「何って、俺や帝統をこんな姿にした奴らの情報を集めんだよ」
「それは僕と一兄がするって、ちょっと前に言ったばっかりだろ?」
そう言って、呆れたようにリビングへ現れたのは三郎だ。軽いウインドブレーカーを着込んで、ランニングするようなスタイルで居る。いつもは『THE 少年』に見える末っ子なのに、今は華奢な自分が並んでいるせいか、とても男らしく思える。
「どうしてもって言うなら僕が一緒に行くよ、それなら一兄も安心でしょう?」
「
……
いや、俺も行くわ」
と長男は答えて、エプロンを男らしく取り去ると上着を羽織る。携帯と財布をその上着に突っ込むと、弟二人(今は片方妹)に向かってノッシノッシと歩いて来る。そのまま二人の肩を掴むと、まるで『アルマゲドン』みたく勇ましく、商店街へ向けて歩いて行った。
* * *
「じゃあまず、二郎の馬鹿が被弾した、路地の方へ行ってみますか」
「現場百編って奴だな」
「低能、それお前漢字で書ける?」
「バッカ、こんな時に喧嘩なんてすんな」
居るわけないと、思いつつ路地裏を三郎と覗き込むと、あのとき兄弟を攻撃した男たちが、一人の女性を取り囲んでいた。一郎が、弟二人を押し退けるようにしてヒプノシスマイクを構えると飛びこんで行く。
すると、囲まれていた女性も、何とマイクを取り出したのだった。後ろに現れたスロットがドゥルドゥルと回る。スリーセブンが揃ったところで、ジャラジャラとコインが溢れ、ギャンブルに関するラップが男たちに襲いかかった。
「!」
巻き起こった爆風に、三兄弟が手で身体を守る。それが止むと、路地裏に男たちがバタバタと倒れていた。散らばっている、何か部品がついた鉄色のマイクを、細い女の子みたいな指先が拾い上げる。「ん~」と持ち手がついた飴玉を口の中で転がしながら、小柄な美少年がニコリと笑う。
「この型はちょっとばかし旧型だね、流行ってたヤツ。効果は長くても一週間ってところかなぁ」
「見るだけで分かるんですか? 乱数」
「まぁ長くこの界隈にいるからね~」
そう言って乱数はそのマイクを男の背中にゴスリと重力のまま落とした。すると、「はて?」と首を傾げた小説家を尻目に、ホットパンツを履いた健康的な女性が、三兄弟に向かって歩いて来てニコッと笑った。いつもの緑色のコートは着ているが、メリハリの効いた刺激的な体型をしている。
<続く>
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