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sugu_yoru
2022-01-28 19:12:29
2118文字
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【天ヤマ】大和に触りたがる九条天4(完)
アイナナ 天ヤマ 勉強中。妙な関係性の二人。おしまいです。
* * *
「なぁんだそれ。『どこを?』ってオレ聞いてんだけど」
和泉三月は大笑いして、新しく届けられた小鉢を店の人から柔らかく受け取った。胡麻和えの蓮根で、前三月が帯番組で作って見せた物と一緒だった(彼もそれに気づいたのか、くすぐったそうな目配せを寄越す)。
好きなところなんて、想いに気づいたらそれこそ数えきれない。顔も好きだし、声も好き。ストイックなところは尊敬できる。何より大和に触りたがるところが可愛い
……
。そう思って黙っていると、三月がニシシと悪い笑い顔を向けた。グーを作って大和の肩にパンチしてくる。
「大和さぁ~ん、『何でもしてあげたい』って顔、してるよ」
「え、マジ?」
「好きなのにつきあわないつもりなの?」
「逃がしてあげたいじゃない、こんな悪い大人からさ」
大和が瞳を伏せてそう言うと、三月は大人びた顔で蓮根を口に運ぶ。三月は大雑把なところもあるが、所作などたまに丁寧で美しく感じる瞬間があり、大事に育てられてきたんだなと感じる(大和も人のこと、言えないのだけれど)。
「『未成年』って事実を理由に、九条から逃げてるのは大和さんなんじゃないの?」
「はぁ?」
「未成年たって九条はもう学生じゃあないでしょ、十八歳以上じゃん。相思相愛で大和さんが保護者なわけでもないんだから、法律的にも問題ないんじゃないの?」
「何でそんな詳しいんだよ
……
それ、俺の相手がイチだったとしても、そんな風に言える?」
「ブッブー、一織はまだ高校生だし、大和さんのことが好きなわけじゃあないから」
「え、ナニソレ。俺、イチに嫌われてる?」
「ハハ、そういうことじゃねぇよ」
笑って胸を殴られるが、その力が思ったよりも重たかった。やはりこういう会話内容に可愛がっている弟の名前を出すのは不味かったか
……
。反省しつつ、新しく追加で届いたビールジョッキを煽る。個室だから油断して、内容が結構リスクを孕んでいる。
「っていうか、向こうがつきあうのを望んでるとも限らないしさ」
「聞いてみたらいいじゃん」
それもそうか。和泉三月のスカッとした返事に、ようやくストンと気持ちが落ち着いた気がした。明日にはまた違う番宣で九条天とスケジュールが被りそうだった。そう思案していると、和食居酒屋の木のテーブルの上で、大和のスマートフォンが主張して震えた。
* * *
「和泉三月と呑みに行った?」
「ちょ、ちょい近い、ちかいって
……
」
誰もいない楽屋。大和は、案の定近寄って来て近過ぎる九条をべりっと自分から引き剥がした。昨夜のスマートフォンへの連絡はやはり九条天からだった。『楽屋に行っても良い?』と確認を取るようになっただけマシだろうか?
「呑みにくらい行くよ、仲間だもん」
「逢坂荘五とはそれほど行かないじゃない」
「ソウは外で呑むと酔ったときにちょっとなぁ
……
」
「君は
……
和泉三月に心を許し過ぎ」
「何それヤキモチ?」
「
……
結論出た?」
「けつろん?」
「僕のこと、相談しに行ったんでしょ」
「ちょ、お前さん
……
どうしたよ?」
「何が?」
「どうしたもこうしたもなかったわ、お兄さんこれから本番だから、お前さんに構ってる暇なんてないから」
「じゃあ終わったらいいの?」
「終わったら
……
そりゃいいよ」
図星を指されて逃げ出したい気持ちとは裏腹に、口からは本音が出た。すると、九条天が大和の鎖骨に垂れ下がるネックレスのペンダントヘッドを急に持ち上げて、それを握り込んできた。首が思わず手前に落ちると、極自然な動作で唇を合わせてくる。柔らかい。
「ちょ
……
」
「待てない、今言う」
「
……
は」
「僕と正式につきあって、二階堂大和」
ファンのことを一番に考える九条天が、己の好意に、欲に従って突き動き、求められていることが大和は何だか嬉しかった。それで、思わずウルついてしまって、椅子の肘掛けに両手を下ろし、大和を閉じ込める天に右手を差し出す。
「ちょっと、タンマタンマ
……
」
その指先が、彼の柔らかい唇に触れてしまうが、ビクリと肩を揺らせた大和のその手を、天は愛おしそうに握りしめる。涙は有り難いことにその一筋だけで、「ああそうか、俺は嬉しいのか」と大和が気づくのと同時に、九条天が花のように微笑んだ。
「君もうそれは」
「違う」
「頷いてるも一緒だよ」
「ちがうってば、あ~こんなはずじゃなかったのにぃ」
そう照れ隠しで否定すると、今度天はまるで子供みたいに屈託なく笑った。それが七瀬陸と良く似ているなと感じたと同時に抱きしめられた。思わず背に手を回すと、九条天はポカポカとあたたかいのだ。
「俺、九条と飯とか行きたいよ」
「そう?」
「飯だけじゃなくて、カフェとか、水族館とか、映画とかも行きたい」
「僕は君と遊園地行きたい
……
」
「そっか」
「ずっとそういうこともしたいって、そう思ってた」
二人は鼻をぶつけ合って、くすぐったそうに笑い始めた。和泉三月に報告するのは照れくさいが、それで、IDOLiSH7のリーダー二階堂大和はTRIGGERの九条天と正式におつき合いすることになったのである。
<おしまい>
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