sugu_yoru
2021-11-15 22:27:18
2487文字
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【天ヤマ】若返る二階堂大和の天ヤマ1

アイナナ 天ヤマ 勉強中。ニカヤマさんが高校生のころの姿と心に戻ってしまいます。

 何かあると多忙なはずの人気アイドルが一所に集結する。そんな不思議な寮に訪れたのは、またしても『かの人』が原因だと言うことで、天はハラハラしながらタクシーに乗り込んでいる。いつも通り後部座席で長身のイケメン二人に囲まれながら、だ。
 もしかしたら自分の容姿が整っているのも、オセロの要領で両脇の美麗な男たちの影響なのか? と馬鹿なことを考えて、可愛らしい弟の姿が脳裏に浮かんで我にかえった(単なるDNAなのだ、九条天の容姿は)。
 本日はIDOLiSH7のリーダーである二階堂大和に、再び何か起こったと見える。また六弥ナギのラビチャにより、三グループ全員秒速で集まっている最中だ。心の中で、Re:valeより先に到着したいな……と天はそんなことを思った。

 IDOLiSH7の寮に到着すると、件の彼を取り囲んで七人とも立っていた。その違和感に気づいたのはもしかしたら九条天だけだったかも知れない。二階堂大和の背が小さい。それは後ろに立つ七瀬陸と和泉一織のおかげで分かったというか、彼らとほとんど身長が変わらないのだ。
 その少しだけ小さい彼に、四葉環が心配そうにのし掛かっている。彼だけでなく、他のメンバー六人がまるで団子のように二階堂大和に縺れてわだかまっている。
「ちょっと」
 何だかそれにジレッとして声を掛けると、七人が一斉にこちらへ振り返った。そしてこちらを見た二階堂大和の前髪がとても短かった。それを見て、天の傍らに立つ八乙女楽が無遠慮にそちらをゆび指した。
「何だよ二階堂、前髪切りすぎたのか? 可愛くなっちまったなぁ」
「それがぁ、可愛くなっちまったのは前髪だけじゃあないんだよ」
 和泉三月が困ったようにため息を吐く。とうの大和は目線を少しだけ鋭くして「……だれ?」と小さい声で自分に覆い被さる環に尋ねた。環は大和の首に顔を擦り付けるようにして、より身を寄せるとそれに答えた。
「誰ってぇートリガーだよTRIGGER。超人気のアイドルグループ、俺らの先輩」
「芸能人ってこと?」
「俺らもだけどな。つっても今のヤマさんには分からないか」
 ポンポンと彼の頭を撫でる四葉環は、流石お兄ちゃんと言うか頼もしさが感じられた。でも、九条天だって『お兄ちゃん』である。まるで厭味みたいに「呼び出したんだから、誰か説明してくれない?」とイライラして見せた。和泉三月が両手を上げてそれに答える。
「大和さん、高校のころに戻っちゃったんだよ」
「身体が、ってこと?」
「カラダもココロデース」
 そこでようやく、TRIGGER三人をここへ呼び寄せた六弥ナギが口を開いた。「それは……芸能活動が難しそうってこと?」と十龍之介が心配そうに彼に聞くと、「このころのヤマートは芸能界のこと良く思ってないみたいデース」と残念そうに返された。
 大和は二人の会話に、居心地悪そうに身を竦める。それを見て九条天は一歩、IDOLiSH7に近づいてこう言った。
「結局は彼にとって今現在、全員知らない人ってことでしょ? この寮で騒がしい中いるより、僕らのところに招いたらどう?」
「はぁー? てんてん何言ってんの? ヤマさんはぁ、俺たちのメンバーだし。ここにいんの!」
「僕たちのところだったら、大抵無人か誰か一人いるぐらいだし、二階堂大和も落ち着くんじゃない?」
 自分で言っておいて、だいぶ無理があるのがわかっているが、こちらを見つめる二階堂大和の瞳が、何とも言えない色合いを孕んで九条天を見つめてる。「連れ出して」って言っている(それは、天の願望かも知れないけれど)。ここで引くわけには行かないと思った。
「確かに、今月は俺と龍は忙しいけど、天はドラマが終わったばかりでちょっと空いてるよな」
「完全にってわけじゃあないけどね」
「大和さんが結局どうしたいかによるだろ? ね、どうしたい?」
 和泉三月が、どこか懇願も込めて二階堂大和の前に立ち、見上げるが、両手を取られたまま大和は彼から瞳を逸らせた。「お、れは……もう少し静かな環境が良いかも、です」とやっと口に出した言葉に、IDOLiSH7の残り六人が落胆のため息をこぼす。
「お願いしても、良いですか? その……
「九条天、そこにいる七瀬陸の双子のお兄さんだよ」
「九条さん、どうぞよろしくお願いします」
 少し幼くなった二階堂大和が、天の方へよろよろと歩み寄るが、身長がもしかしたら一緒か天より低く、新鮮な気持ちになったところで、横から無遠慮に八乙女が手を伸ばす。あっと思う間もなく、茶色い髪に触れられてしまった。
「まぁ、ほとんど俺らいないし、好きに過ごしていいから」
 そう言ってハンドボールみたいに大和の頭を掴むと、わしわしわし~っと犬にするみたいに撫で回した後解放した。「やっぱり、前言撤回していいですか?」と少し涙目の二階堂大和が瞳で訴えてくるが、九条天は無視してその腕を掴んだ。
「天にぃ! 大和さんをよろしくお願いします」
 七瀬陸が頭を直角に下げるのに目を細めて、今後の話について和泉一織に話しかけようとした瞬間、寮のインターフォンがけたたましく何度も鳴った。「ハイハーイ♪」と陽気にスキップしながら玄関に向かった六弥ナギを、どこか嫌な予感で見送ったのだが、やはり彼が引き連れて戻ったのはRe:valeの二人だった。
……っ」
 千を見た瞬間、掴んでいた大和の腕が明らかに震えた。バッと顔を上げて彼の表情を確認すると、安堵が咄嗟に出てしまっていて、九条天の心臓がわずかに痛む。千は「わぁ大和君、可愛くなっちゃったね~」と、どこか暢気に声を出して近づいて来る。
「もう話はついちゃった感じ?」
と百が首を傾げるのに、逢坂壮五がTRIGGER三人の住まいへ行くことになったことを丁寧に説明している。するとそれを傍で聞いていた千が、「何だ、だったら前みたいにうちに来ればいいじゃない」などとしれっと言いはじめた。
「はぁ?」
と現在の年齢にそぐう感じで、尖った声を上げたのは二階堂大和だった。

<続く>