sugu_yoru
2020-08-24 01:29:21
2483文字
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【乱帝】やぶさかでない 1(R15)

ヒプの乱帝。暑い日に帝統に家に来て欲しい乱数。
それほどではありませんが性行為を感じさせるような表現が数行ありますので
R15とさせていただきます。
モブと乱数の性行為の気配があります。続きます。
ヒプ色々勉強中ゆえ、何かしら間違えていたら教えてください。

 復活が早い。濃さもそれほど薄くならないし、一晩の中で四発なんて朝飯前だった。そういう風に造られたのかもしれない。というか、生命として不安定過ぎて、後に子孫を残そうと身体の方が危機を感じているのかもしれない。
 自制が効かないわけじゃないし、『オネーさん』たちはこぞってそれには喜んだものだから、飴村乱数は特にそれで困ったことはなかった。己の見た目は『超』がつくほど可愛らしかったし、処理の相手に困ることなんてないではないか。
 きっとこの白濁には、未来に繋がる『精』の機能なんてないのだろう。あの医者と不仲になる前に調べておいてもらえば良かっただろうかと一瞬脳裏を掠ったが、どうせ結果は大体分かっていたのでその思考は快楽に流れていった。
 そんなわけでゴムの必要性は『病気に罹らない』がメインであったが、女性相手だと必要なものであるように思える。後処理は勿論のこと、その匂いや薄さ、形状、そしてそれを装着するまでもがセックスのお作法というかイベントの一つであるように思える。
 今日はグリーンアップルという、少し分かりにくい匂いのスキンを使っている。腰を動かすたびに、自分より体重や身長がずいぶんある美しい女性の髪や脂肪が動く。汗がうざったく白い肌を伝って落ちてゆく。
 脳内が上気せたようにぼうっとなって、ああ、冷房をつけていても今夜は暑いんだなということを思い出した。こんな日『彼』は、どうやってそれをやり過ごしているのだろうか? 公園で蚊に食われる有栖川帝統を妄想して、少しだけ萎えかけた。
 朝になって、女性を見送る。昨夜羽目を外したのは理由があって、休み前にデザインをいくつか納品したからだ。休み明けにリテイクや修正など来るだろうが、これから土日は何も動かないはずである。
 乱数は誰もいない広いリビングに戻ると、滅多につけないテレビをつけて、そして滅多に見ない天気予報にチャンネルを合わせた。昨日も今日も明日も、これからしばらくずっと暑いようであった。ますますと帝統のことを思い出す。
 雨の日はそれはそれで心配であるし、暑い日はそれはそれで心配だ。外飼いの黒猫を一匹飼ってるような気持ちである。『オネーさん』がいた形跡を綺麗さっぱり掃除し終わるころ、午前十一時くらいになって、大理石のテーブルの上に放ったらかしにしていたスマートフォンがわずかに振動した。

* * *

「来てくれて助かりましたよ、乱数」
「ううん、珍しいね」
「担当編集が女性の方なんですが、山のように甘味を頼んだあとに仕事で呼び戻されてしまいましてね……
「僕より帝統の方が良かったんじゃないの? いつもお腹空かしてるじゃん」
……こんな店に帝統と小生の二人で甘味を食べるというのはなかなか敷居が高いかと」
 これからスイーツを食べるというのに、乱数は飴を口に放り込んだまま店内をぐるりと見渡す。中王区でもないというのに、周りには女性客しかおらず、幻太郎と乱数ですら少し浮いて見える気がする(ピンクとラベンダー色で、店員の制服が可愛いなって思った)。
「帝統は別に気にしないと思うけどなぁ」
「小生は気にしますね」
「幻太郎は面倒くさーいね!」
 キャハハと笑い声を上げたところで、生クリームとベリー類が零れんばかりのシフォンケーキと紅茶が届いた。恐ろしいことに注文はこれだけではなく、氷山の一角なのだそうだ(他にもフルーツパイやパフェなどetc)。
「そう言えば今日、日中四十度超えるんだって」
「へーそうなんですか」
「幻太郎ねぇ、そんな気温の中僕のこと呼び出しといてよく言うよ」
「あなたここまでタクシーで来たじゃないですか?」
「だぁってぇ、この陶器のような肌が焼けちゃってもいーってわけ? 運賃出してくれる?」
「交通手段までは指定してないので」
「幻太郎のケーチー!」
 そう言いながらも昼飯代わりにスイーツをたらふく馳走になったあと、自分のスマートフォンが震えていることに気づく。昨夜とは違うオネーさんの一人が、今夜の予定を聞く内容だった。どうしようかな、まだヤり足りないかもしれない。
「おや」
と幻太郎が声を出したのは、ガラスのテーブルの上に投げっぱなしの彼のスマートフォンもまた震えていたからだ。そこに表示されている『有栖川帝統』という名前に、思わず「ズルい!」と声が出てしまった。
 苛立から奪い取って出てしまった。「ハロー? 帝統ぅ?」と甘ったるい声を出すと、驚いたのは電話の向こう側の二十歳だった。『へぇ? 乱数? 何で?』と素っ頓狂な声を出すものだから乱数はケタケタ笑い上げた。
「今日暑いから幻太郎の家に泊めてもらおうと思ったんでしょう? ざーんねんでした! 今日は夢野先生忙しいみたいだよ?」
『っ、マジかよついてねー』
「だから僕のとこおいでよ」
 「僕、今日明日休みなんだ」という事実はとりあえず隠して(警戒されるからだ)告げると、有栖川帝統は少し考え倦ねるようだった。『おーじゃあ頼むわ……』と言った声が少し嬉しそうじゃなくてムカつく。
「ちょっと乱数」
 夢野幻太郎は少しだけ怪訝な声を出したが、乱数がスマートフォンを手放さないので、諦めたように瞳を伏せると、ポットからこちらにも紅茶を注いでくれている。乱数はそれを横目にペラペラと帝統に話し続けた。
「じゃあ良いときに僕んち来てね、ピザでもデリでも何でも頼んであげる」
 そう言って満面の笑みで通話を切ると、半目で幻太郎がこちらを見つめているのに気づく。「あれ? 何か怒ってる?」だなんて嘯いて、スマートフォンをようやくと返した。幻太郎はそれをパッパっと払ってから懐にしまう(酷い!)。
「小生、仕事で忙しいなんて言いましたっけ?」
「だってこれ編集さんが集めてきた資料でしょう? 今晩から取りかかるんじゃない?」
「それはまぁそうですけど。今までだって作業中に帝統がいて困ったことはそれほどないんですよ」
「うっはぁ、そーなんだ」
「嘘ですけどね」
「だろね?」

<続く>