【宴】

『蹂躙するは我が手にて』現行未通過×

メルとありきたりな晩餐

高く立つウェディングケーキを見上げる。このケーキは誰かを祝うものではなく、世界そのものを祝うものだ。オレたちの勝利を示し、神の敗北を知らせる塔。四人が望んだ、最高で最後ではない晩餐。


アルドア・シュトラウトにとって、『視線』とは『快感』なのだろう。
左半分を熱湯で焼かれても、彼はその笑みを崩さなかったらしい。離れた場所で黒ビールを口にして、この場においても演説を止めない男。


エルディ・アイザックにとって、『戦場』とは『故郷』なのだろう。
犬耳を思わせる髪をした、何にでも噛みつく狂犬。アルドアに黒ビールを押し付けられ、更に肉も頬張っている男。


トリステン・カロルにとって、『平穏』とは『目標』なのだろう。
穏やかな日々を、生きることと同等に求めている。お粥を食べていたらアルドアとエルディに絡まれ、青白い顔で震えてる男。


何をしているんだ、お前もこっちに来て飲め。
スイーツもいいが肉も食えよ肉! ほら!
胃薬作ってくれるって話、忘れてないよね?

手を引く男たちは、感情は違えど笑顔だった。つられて上がった口角を自覚して、なんだか照れくさい気持ちになる。こんな気持ちになったのは、初めて兵器を造った時以来の気がする。


オレにとって『未知』とは、永遠の敵であり最愛の恋人だ。

オレにとって『無知』とは、重大な罪であり最大の友人だ。


オレは技術者、『13番目の魔法使い』と呼ばれる男。


かの偉大なる種族を追い抜き、宇宙の頂点に立つべく生まれた人間だ。