よつもり
2023-12-09 15:50:40
2852文字
Public 映画・本のはなし
 

映画『ゴジラ-1.0(マイナスワン)』 感想 ※ネタバレあり

2023年11月17日にぷらいべったーに投稿した記事の再掲です。
ぷらいべったーの記事の整理のため、こちらのぷらいべったー+に移動させました。

先日ゴジラマイナスワンを観てきましたのでそのあらすじと感想です。
ネタバレあります。

☆ ☆ ☆

【メモ】

監督・脚本:山崎貴 主演:神木隆之介

☆ ☆ ☆

【あらすじ】

特攻隊の一員として出撃するものの、
機体の故障を偽って修理を担う守備隊基地に逃げ込んだ敷島は、
守備隊基地にてゴジラに遭遇。整備部の橘にゴジラを射撃しろと命令されるものの、
敷島は臆病な性格によりゴジラを攻撃することができない。
ゴジラは基地を蹂躙していく。
基地の生き残りは橘、そして敷島だけとなり、
橘は部下が死んだ責任は敷島にあると言う。

終戦のち敷島は実家に帰るものの、
両親は空襲で焼け死んでいた。
実家の跡地であばら家を立てて生活していたところ、
若い女・典子と、その血の繋がらない連れ子の明子が転がり込んできて、
なし崩し的に一緒に暮らし始める。
隣人の澄子が敷島と典子を手助けしてくれる。

敷島と典子は夫婦のように生活をするが、
敷島は典子を娶ることなく、明子には父と呼ばせない。
敷島は自分が特攻隊の生き残りであり、
守備隊基地で死んだ整備士たちの死の責任は自分にあると感じ、
典子や明子と深く関わり合うことに怯えがあった。

ゴジラが巨大化して東京に上陸。
銀座で働いていた典子はゴジラから逃げる。
敷島が典子を助けに来て合流するものの、
ゴジラが吐いた攻撃の爆風により典子は生死不明となる。
敷島は典子を失ったことに衝撃を受ける。

敷島の同僚がゴジラ討伐作戦に敷島を誘う。
自身のゴジラとの因縁に決着をつけ、典子の敵を討つため、
敷島は戦闘機に乗ることを決める。
戦闘機の整備のため橘を探し出し、
戦闘機に爆弾を積んでもらうように頼む。

ゴジラ討伐作戦が決行される。
総力を結集した作戦だったがゴジラには歯が立たない。
敷島が爆弾を積んだ戦闘機でゴジラの口の中に特攻する。
危ういところで、敷島は橘が準備していてくれた脱出装置を使い脱出。
ゴジラは口内への爆撃によって海に沈んでいく。

帰還した敷島のもとに、澄子がやって来る。
典子は生きていて、病院にいるという。
敷島は病室に駆け込み、典子の胸で泣く。
(典子の首には痣がある。余命幾ばくもない?)

☆ ☆ ☆

【感想】

安藤サクラの演技がまあ〜本当に、最高に良かったんですよ。
澄子という人はかなり情に厚いために、
だからこそ最初は役目を果たさず両親が死んだ実家にのこのこ帰ってきた敷島を非難するし、
けれども敷島が母子を拾って住まわせていると分かると文句を言いながら手助けするし、
典子が働きに出るとなると明子を預かって、
典子の葬式には手伝いに来たりと、
かなり甲斐甲斐しく敷島家のお世話をしてくれますが、
澄子も家族を亡くしていて、きっとお隣の若夫婦の世話を焼くのが生きがいになっていて、
そうしないと厚い情の行き所が無くなってしまうのだろうなという、そういう人物だと感じました。
安藤サクラの存在感によってこの澄子という人物は成り立ってると思っています。
安藤サクラは私、本当に好きな俳優さんでして。
といってもあんまり作品を追っているわけではないのですが。
『万引き家族』と『怪物』での演技がかなり良くてですね。
『万引き家族』ではリリー・フランキーと夫婦役を演じていて、
『怪物』では夫に先立たれてシングルで息子を育てる母親の役だったのですが、
日本の、よくある一家の、よくいそうな、かなり所帯じみたお母さん。
といった演技と存在感が本当にすごい。
安藤サクラはそういう女性を演じるのが本当に上手い。
「ああ〜こういうお母さん見たことあるある!!」
っていう説得力がすごいんですよ。存在感。

で、神木くんの演じる敷島という男がまた良くてですね。
始終鬱々としていて、典子の生死不明となってからはより鬱々に拍車がかかり、
途中からあんまり喋らなくなって、大勢でゴジラ討伐の作戦会議をしている画面の隅で、
じっと恨みがましい目でどこかを見つめているという、
そういった様子が本当に良かったですね。
ゴジラ討伐の要ではありましたが、
ヒーロー然とした男では決してなく、
むしろ弱く臆病で、その臆病さゆえにゴジラと因縁ができてしまったという、
なんとも気の毒な男でもあります。
典子が生きていると分かり、病室に駆け込んだ敷島は、
明子そっちのけで自分が典子の胸に飛び込んで泣くという、
これまた情けないエンディングでした。
とはいっても、情けないのがいけないということではなく、
最初から情けない男だった敷島が、ゴジラ討伐を果たしたとしても、
それでもやっぱり本質は情けないのだという、
そういう描写が一貫していて私は大変好きでした。
情けなくなかったらこの物語は成立していないので。

この監督の他作品は観たことがありませんでしたが、
『STAND BY ME ドラえもん』などの評判を聞いて、
多分私には合わない監督さんかな〜と思って敬遠していましたが、
今回ゴジラの監督・脚本を務められたということで、これはすごいことです。
特に脚本がなかなか良いなと感じました。

臆病な男である敷島が、その臆病さによりゴジラとの因縁ができ、
典子を失うことによりその因縁が強まり、
ゴジラを討伐するという強い動機を作り上げる。
この、ゴジラ討伐への動機づけの流れがかなり無理なくスマートに描かれていて、
脚本の説得力を感じました。
その脚本の構造が面白かったです。

ただでさえ『シン・ゴジラ』の後で、普通だったらシンゴジに引っ張られそうなところを、
また別ベクトルのゴジラを実現させたということで、これはかなりの偉業ではないでしょうか。
(私はゴジラには詳しくなく、初代ゴジラと、シンゴジと、米版のゴジラと、そして今回のマイナスワンくらいしかゴジラの視聴経験はありませんのであまり大きいことは言えませんが、それでも。)
このマイナスワンは、シンゴジと対になる様な作品で、相互補完的だなということを感じました。
それぞれに無い特徴を、お互いが補い合っているような感じがします。

というわけで、ゴジラマイナスワンはとても楽しめる映画でした。
ゴジラ、怖くてよかったですよ。
純粋にでかくて強くて怖い生物っていう感じが良かったです。
それと最後のクレジットで、ゴジラの足音が近付いてきて、ぎゃおーっていう叫びが聞こえてくる、あのラストは映画館の音響で是非体験してほしいですね。音だけで怖いから。

おしまい。

追記:
吉岡秀隆が演じる野田という学者も良かったです。ゴジラ討伐の作戦を説明している時に時折表情がギラッとするのが本当に良かった。演技が本当に良い。マッドな感じ出ていました。典子を亡くして打ちひしがれている敷島を作戦に誘うところとかもやばさがあってよかったですね。この映画で一番狂っている人物は断トツで野田です。