2023-12-08 23:55:14
1783文字
Public 二次創作:全般
 

水色と紫とゼラニウム

リズム天国二次創作 リフ+エアボ(前衛)
診断メーカーよりお題を拝借して書きました。【https://shindanmaker.com/831289】※url直しました
距離感は近いけどあくまでコンビのつもりで書きました。
独自の設定、幻覚を多大に含みます。
プライベッターから再掲。

 なんだろう、この匂い。
 カビとか生ゴミじゃない、生活臭とは程遠い刺激的な匂いが鼻腔に抜けていく。
「ゼラニウムですよ」
 僕の心を読んだかのように、部屋の主が答えた。いつものようにリフの自室に集まって、小さなテーブルを挟んで談笑しているときだった。
「しばらく外は寒くなるらしいので、室内に入れてみたんです。……まぁこの通り、だいぶ匂いが主張してきますけど……
 リフは壁際の棚に目をやった。その上には鉢植えが陣取っている。シンプルな内装の中で、その赤色がアクセントになっている。
「しかし、この星の冬は寒いですねぇ。たまにはエアボーダーさんを湯たんぽにして眠りたいんですが」
「君はいつも……距離感がないな」
 布団を隣同士並べるくらいなら僕は許容できるけど、流石にそれは……
「それにしても、リフは花を育てるのも得意なんだな。この季節でも枯らしてないし……
「そっそれほどでも……というか、そもそもあなたがコレを持ち込んだから、僕がその世話をしてるんです」
 えっ、あ、そういえばそんなことあったな……忘れかけてたのバレたら怒られそうだ。
 確かそう、何日か前にとある花屋から花をいくつか引き取ったんだ。――なんでもイベントのキャンセルで余ってしまったとかで――引き取った花の中に確かコレもあったような……
「エアボーダーさんは、困ってる人を見ると放って置けないひとですからねぇ」
「め、面目ない……?」
「いいんですよ。ガーデニングも案外楽しいですし」
 そうそう、とリフは席を立つ。
「あのゼラニウムは一応あなたが持ち込んだものですし、一度成果を見せたかったんですよね」
 そう言ってリフは棚まで移動し、その鉢植えを持って戻ってきた。
 小さな机の上になんとか空けたスペース、そこに鉢が置かれた。至近距離の刺激臭に顔をしかめたいのを堪えつつ、リフが育てたというこの花を観察する。
「これがゼラニウム……。変わった形の葉っぱだな……
「丸っこくて可愛いですよね。それにほら、綺麗に咲いてるでしょう?」
「あぁ。この冬の中でも強いんだな」
「こんな季節でも咲いてるんですから、なんとしても枯らさないようにしたくて……一応育てやすい部類とは聞きますけど――
 僕自身あまり花に関心はないが、リフが自分で育てた花の、種類や様子を一生懸命語っているのを聞いてると、なんだか興味が湧いてきた気がする。まぁリフはリフで花そのものというより、僕の関わったものに対して興味を持ってる印象だが。
――色んな色がありますけど、やっぱり赤が好きですね。水色の花はなさそうですし……それにゼラニウムの花言葉は――
「うんうん……花言葉は?」
「っえぇと……
 どうしたんだリフ、急に黙って。俯いてモゴモゴ喋ってちゃなんだかわからないぞ。
「そ、れよりエアボーダーさん。今日ここで寝ませんか。あなたを湯たんぽにしたいんですが」
「唐突だな!というかそれは遠慮させてくれ!」
「そんなぁ……だったら、これはどうですか?」
「なんだ」
「このゼラニウム、あなたにあげます」
「なんでそうなる?」
「エアボーダーさん、僕の湯たんぽとして布団に入るのと、このゼラニウムを育てるの、どっちがいいですか?」
「なんで二択?」
「も、もう!とにかくどっちかのお願いだけでも聞いてください!!」
 またか。リフはときどき訳のわからないことを言うんだよな……。まぁ今回はわりと付き合いやすい方だが……
「わかった、じゃあ……このゼラニウム預からせてもらうぞ」
「は、はい……大事にしてくださいね。水はあげすぎないように……
 リフは心なしか微妙な反応……気のせいだろうか。というか流れで鉢植えを預かってしまったが大丈夫だろうか。育てやすいらしいとリフは言っていたが。
「それじゃあおやすみ、リフ」
「おやすみなさい、エアボーダーさん」
 さて……これはどの部屋に置こうか。


 客人が出ていった部屋。元物置であるリフの部屋は静寂に包まれていたが、部屋の主の独白がそれを破る。
……あの人のことだし、花言葉なんてあまり関心なさそうだけど。僕だって前はああいうの興味なかったし」
 一つ、大きなため息をつく。

「はぁ……なんなんだろうな。こんな周りくどい真似するなんて」