静かに布団の上に押し倒され、无諦の顔が近づいてきて目を閉じる。軽い口付けから少しずつ劣情を煽るような深いものになっていく。その合間に无諦の右手が僕の左手に重ね合わせられて指を絡める。お互いの指の形が分かるように何度も握り返す。そして薬指を撫でられ、その根本にある指輪に触れられる。无諦の指先に力が少し込められて少しずつ薬指から外されていく。
目を閉じているからこの時は分からないけれど、外された指輪は枕から離れたところにいつも置かれる。行為の最中は押し倒された態勢でずっと向き合っているから、指輪が行為の最中に僕の目に入ることはない。でも无諦の目には入ってしまうのではないかといつも思う。
欧州の人間はよくこんなものを考えたものだと思う。外すにせよ外さないにせよ、この証が視界に入る度に自分が背信者だということを思い知らされる。そしてその自覚は麻薬だ。背信者となってまでも相手が自分を求めているということの証明なのだから。
无諦が道を踏み外してでも僕を求めている!无諦の脚本の演者としての快感とは違う、どろりとしていてどうしようもなく甘ったるい快楽だ。だから僕は无諦が指輪を取ることを拒まないし、无諦の目に入るところにこの証があってほしいとも思う。同じ罪を犯していることを二人で分け合いたいから。
唇が離されて、身体が暴かれていく。无諦から与えられる快楽に脳が冒されていく中でも、視界に入らない証のことをいつもどこかで考えている。共犯者としての象徴として思っていることを考えていると知られてたら、无諦はどんな顔をするだろうか。あるいはもう僕のそんな浅い考えなんてずっと前からお見通しで、なんとも思わないのだろうか。
无諦の愛撫に一際大きな声を上げると、无諦がこちらを見てふっと笑った。ああ、やっぱり全部お見通しなんだなあ!彼の前では何も纏えないのだと思うと、奇妙な清々しい快感がある。そうして今日もおかしくなるような身体と脳の快楽に任せるのだ。
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