sguearth
2023-12-06 20:45:27
7195文字
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疾風の出会い

フォロワーらふ氏モデル らふ氏に捧ぐ 基本コンセプト金髪碧眼ショタアンドロリのボーイミーツガール()

海岸の国道を真っ直ぐ走らせる、全身に風を感じ、バイクスーツの中を気持ちのいい汗が流れる


ボクの名前はラファエル・トゥルニエ、友達や家族にはラフィと呼ばれている、この愛称には結構思い入れがあり、そして特別な思い出がある


実はボクはこの名家トゥルニエ家の実子では無い、ボクの実の両親はボクを産んですぐに亡くなった、旅先での交通事故だったらしい、皮肉にも子供だったボクだけが生き残った、そして、遠縁だった親戚に引き取られた


だがその親戚は日本で言ういわゆる毒親、虐待を躊躇わない最悪の人でなしだった


幼い頃からボクは過酷な労働を強いられて何かと言えばすぐに拳が飛んできた
食べ物も服も粗末な物しか与えられなかった


何でボクだけ、何度も誰でもいい、助けてと祈った、だが遂に敵う事はなかった


だけどある日、そんなボクの運命は一変する


ある日、ボクは親戚の言うままに山の中へ一人山菜と薪を取りに行った、半分は金の無い親戚がただで食材を手に入れる為に、そしてもう半分はただただボクを虐めたいだけに、
とにかく少しでも殴られる回数を減らす為に無理してでも籠一杯に積む、当然幼いボクには重たい量だ、だがそれでもやるしかなかった


何故逃げなかったのかと人は言うかも知れない、だが当時のボクはあまりに殴られ過ぎてすっかり恐怖に縛られてしまい、頭が疲れ切ってもはやそんな事を考えることすら思い浮かぶ余裕が無かった


もう日も暮れ架かった山道を急いで下ろうと
する、そんな時だった、どこからか幼い少女の悲鳴と大人達の怒鳴り声が聞こえて来たのは
一瞬親戚が来たのかと思い身を震わせる
だけど違ったらしいとにかくボクは近くの茂みに身を隠して様子を見る事にした


そして、運命の出会いがあった


「助けてっ誰か助けて!」10歳ぐらいだろうか、ツインに別けた艶やかな黒髪、透き通るような白い肌、小鳥のようなか細い声、何より一度見たら忘れられないブラックオニキスの瞳、まるで風の妖精のような女の子がボロボロの病院検査服を纏って、疾風のように、山道を駆け下りて来た
それは、あまりに非現実で何処か幻想的だった


「助けてっ!」何と言う事だろう、よりによって彼女はボクの隠れている茂みに逃げ込んで来たのである


「キャアッ!だ誰!」悲鳴を上げそうになった彼女をボクは慌てて少し強引に抑え込んで口を塞ぐ
「お落ち着いて!静かにするんだ、ボクはキミの味方だ!」
ボクは眼で訴えて彼女を茂みの奥へ引っ張り込んで行く
あまりに白く細く触っただけで折れそうな彼女の腕に戸惑いながら
彼女を抱き込むような姿勢でボクは小さく身を屈めながらじっと息を潜める


「何処だ!何処に行った!」「こちらには見当たりません!」「小さい娘だ!そんなに遠くまで逃げれるものか!この辺りに隠れている筈だ!彼女はコッカキミツなんだっ始末書や我々の首では済まされないぞ!探せ!徹底的に探すんだ!!」


やがて男達は幸運にも逆の方向を探し始めた、ようやく一息ついて彼女を抱く力を少し緩める


「ぷはっ息が止まっちゃうかと思ったでも助かった、ありがとうお姉ちゃん」
ボクは苦笑しながら彼女に静かに語りかける
「残念だけどボクは男の子だよ」
「えっだってあまりに綺麗なブロンドと青い瞳だったからてっきり女の子だとでもそうか、ごめんなさい、そしてありがとう、お兄ちゃん」
それはボクの台詞だ、山道を駆けたからか、彼女はあちこち擦り傷だらけ、泥だらけだった
それでもなお、彼女の可愛らしさは消えていなかった
とにかく彼女が何者なのか、何故追われていたのか、少し聞き出さなくてはならない
「ボクの名前はラファエル、君の名前は?」
「わあ、お兄ちゃん私にそっくりな名前だね、私はラファールと言うの」
ラファール?あまり幼い女の子に付けるような名前ではない、あの男達と何か関係あるのだろうか
君は何者なんだい?何故追われていたんだあの男達は誰なんだい?」
わかんない、」
彼女はそうやって首を振る
いやわかんないって事は無い筈だ、そう聞こうとすると
ラファール小さい時から真っ白い部屋の中で他の子達といっしょにいたの、でもその子達はどんどん消えて行って、残されたラファールは毎日苦いお薬と痛い注射を打たれて、もう苦いのも痛いのもイヤ!、他の子達に会いたい、そう思って逃げ出したの、そうしたら大きな水槽の中にイ、イヤ!あんなの!」
ボクは慌てて彼女の口を抑える
そうして気絶して後は良くわかんない、気が付いたら施設の外に居て、夢中で山の中に逃げ出したの」
人体実験かそれとも人身売買か何かだろうか、今までボクは世の中で自分が一番不幸だと思っていた、だがこの世の中にはもっと残酷で不幸な事があると思い知った
怖い、怖いよラファエルお兄ちゃんラファールどうなっちゃうの?」
彼女は小さく震えていた、その姿はあまりにか細く痛々しかった
大丈夫、ボクが守るから」
「ラファエルお兄ちゃんが?」
「ラフィで良いよ、昔、本当の両親がボクを良くそう呼んでいた名前だ」
そう言って、彼女の手を握りしめる
彼女は少し戸惑った後、彼女の方から手を開いて指をしっかり絡ませて来た
お兄ちゃんが私を守ってくれるの?じゃあお兄ちゃんは私の騎士様だね」
そう言って彼女はにっこりと微笑む
ボクには少し眩しくて慌てて目を逸す、
彼女を抱きかかえて身を縮ませる、ラファールのあまりに小さく柔らかく、甘い香りの感触に胸の鼓動を必死に抑え、しばし周囲に静寂が落ちる、山鳥達の鳴き声だけが聞こえて来る、少し落ち着き始めると彼女はじっと空と、飛び渡る鳥達の群れを見ていた
「鳥が、好きなのかい」「うん、鳥さんとお空は大好き、いつかラファールもあの空を自由に飛んで見たい」
「それは素敵な夢だね、いつか叶うと良いね」
「大人の人達が言っていたの、ラファールには大きな翼があるんだって、そして、いつか皆の願いを叶えて天国へ行けるんだって」
何だろう、他愛のない願いなのに、酷く儚く、残酷に聞こえた
何となく、会話を別に逸らす
「そうだ、ラファール、ボクといっしょに何処かへ逃げよう」
「ラフィお兄ちゃんと?」
「そうだよ、ボクもラファールと同じ大人達に酷い事をされているんだ、二人で大人達のいない何処か遠くに行こう、なんなら国境を越えるんだ、そして二人だけの静かで穏やかな場所に」
「素敵だね!ラフィお兄ちゃんとそんな所にもし本当に一緒に行けたら


「残念だが、そんな場所はこの世の何処にも存在しない」
ハッとして振り返る、そして茂みをかき分ける音と深く低い声が聞こえて来た
「やはりこんな所に居たのか、全く手間を掛けさせる、まあ直ぐに見つけられない部下達も部下達だが」
反射的にラファールの前に出て彼女を後ろに守る
彼女を追って来たのだろう、眼の前に背の高いコート姿の中年の男が立っていた、何故だろう、その男からはさっきの連中と違って暴力や恐怖ではなく、何処か威厳とそして悲しみの雰囲気を感じた


「さあ、ラファール、おとなしくこっちに来るんだ、今なら悪いようにしない」
男はボクに少しだけ目をくれた後は構わずこっちにやって来る
「いイヤっこっち来ないで!」「大丈夫、ボクが守るから、こ、こんな奴ボ、ボクがやっつけてやる!」
ボクは近くにあった枝を拾って必死に男に突き付ける、枝先が震えているのが自分でも情けないほどに解る
それでもここで引く訳にはいかない
さっきから少年、君は誰だね?ラファールとはどんな関係かね」
「誰が言うもんか!ボクはただこの子をお前ら汚い大人達から守りたいだけだ!」
男は特に動じもせず言葉を続けて来る
「こんな山の中にどうして子供一人で?両親はどうした?逸れでもしたのかね?」
あのろくでなし共の事を言われてつい頭に血が登る
「知るもんか!あんな奴ら!それにお前には関係ない事だ!!」
ふむ、あまり良い状態では無いな」
そんな時、さすがに騒ぎを聞き付けて来たのか、さっきの男達が集まって来た、畜生、最悪だ
「こんな所に!ご無事でしたか!それにラファールまで!さすがですトゥルニエ中佐!」
「遅い、眼の前だけではなく常に周囲全体を見ろとあれ程言って来た筈だが、まあ良い、ラファールを確保しろ」


「や、止めろ!畜生ラファールを離せ!!」
「いイヤっ助け助けてラフィお兄ちゃん!!」
「おとなしくするんだ!このガキ共!」体の大きい男達に、よってたかって掛かられたらもう何にも出来ない
なすすべもなくあっという間にボクは取り押さえられて、ラファールは男達に軽々と抱きかかえられてしまった


「イヤっイヤっお兄ちゃんウッ」
ラファールは何かを首に当てられて、小さく呻いて気絶してしまう
ボクはその様子をただ見ているしかなかった、
気絶したラファールにすぐに若い男と白衣を着た男がやって来てラファールのまぶたを無理矢理開けて瞳孔を覗き込む
「どうだ」
心理的負担が大き過ぎたようです、とりあえず記憶操作で今日一日に起きた事を全て消去するしかありませんな、それでも当面ダイレクト・リンクに支障が残るかと」
「クソがっ!」
もう一人の若い男が毒づく
「だから最初からインプリンティングをしておけば良かったんだ!そうすれば『人形』としてこんな面倒な事にならずに済んだ物を!」
人形?今何て言った?男達が何を言っているのか詳しくは解らない、だがこれから残酷な事をしようとしているのは解る、ラファールからこれ以上何を奪うと言うのか
ボクは完全に頭に来て、目の前のコートの男が酷く悲しく、そして怒りを浮かべた表情になった事に、その時は気付いていなかった
ボクは叫ぶ、完全にラファールとボクの事を重ねて
「ふざけるな!!」そうだ、あんた達大人は何処までボク達から大切な物を奪えば気が済むんだ
「おとなしくしてろ!お前には関係無い事だ!」ボクを押さえつける男達の力がいっそう強くなる、構わずボクは叫び続ける、ラファールに届くように、この騒ぎに周囲の鳥達は鳴き声を上げて、一斉に空へと羽ばたく


「ラファールはただ『自由に』飛びたいだけなんだ!あの鳥達のように!!」


今思えば何故こんな事を言ったのか、今だに良く解らない、ただボクはあの時同じく大人達にいいようにされていたラファールに完全に同調していた、そんな気がした
もう良いだろう、そこまでだ」ボクの叫びの後、今まで黙っていたコートの男が手を上げて、男達を制しながら中に入って来た
その姿には有無を言わせない迫力と、不思議に何処か威厳があった
中佐?」
「ラファールにもう少し行動の自由を与えろ、『試験』以外の時は人間の少女と同じように扱え、何なら監視付きとはいえ街に連れ出してやっても良い」
「!、中佐それは!彼女はザイっ普通の人間じゃ無いんですよ!最初からインプリティングすれば安全です!こんな面倒な事にならずに済みます!」
「命令だ」
恐ろしく静かに、しかし反論を許さない強い口調で男は言う
了解しました」
若い男はすごすごと引き下がる
他の男がコートの男に話しかける
「中佐、この少年はどうします、正直国家機密に触れてしまったのですが」
ボクは一瞬身を震わせる、ラファールが国家機密?
しかし男は皮肉気味に薄く笑う
「だったらどうする?この場で口封じでもするかね?馬鹿馬鹿しい、どうせ今日この場の事を詳しく理解も出来ないし、人に言っても信用されまい、むしろ我々はこの子を大切に保護をする義務があるさて少年少し失礼するよ」
そう言って男は急にボクを強引に掴み、凄い力で身体のあちこちを触り始める
「何を!」
しかしボクの抗議にも構わずボクの髪や皮膚を弄り続けそして
「髪も皮膚も栄養不足、身なりも粗末で貧相だ、そして何よりこの打撲痕、山で傷付いた物ではあるまい」
ボクはハッとして親戚に打たれた青痣を慌てて隠そうとする
虐待か」そう言って男は一つため息をついた
「この少年を保護して病院へ連れて行け、栄養と適切な手当を与えろ」
「了解です、しかし完全に我々の任務外、管轄外になりますが」
「だからといって国と民間人を守る立場の我々が放って置くわけにも行くまい、地元警察と児童保護相談所に連絡しろ、少年の家を徹底的に洗え、状況によっては強引に親権剥奪しても構わん」
「解りました、さあ少年立てるか?一緒に来るんだ」
さっきまでとは打って変わって丁寧な物腰で話しかけてくる
だけどボクは無言でその場に座り続ける
何かを悟ったのか、コートの男が男達に言う
「ラファールを連れて先に戻ってろ、少し二人だけの時間が欲しい、どの道色々聞き出さねばならないしな」
「解りました、中佐、お気をつけて」
ボクは最後に必死に食い下がる
「最後に少しだけでいい、ラファールの顔をボクに見せろ」
難色を見せる男達にコートの男が少しだけと許可をする
ラファールの顔は青ざめて、まるで人形のようだった
ボクは最後にそっと手を握りしめる
ありがとうそしてさようならラフィお兄ちゃん
少し意識を取り戻したラファールが、最後にそう呟いた
ボクは泣きたくなるのを必死に堪えた


男達とラファールは去り、もうすっかり暗くなった山の中、コートの男とボクだけが対峙する


しばらくの沈黙の後、ややあってボクの方から憮然に口を開く
お礼なんて言わないぞ、どうして今さらラファールに優しくするんだ」
「不満かね」
「当たり前だ!だったら最初からラファールを解放しろ!どうして彼女を自由にしてやれないんだ!」
「今、ラファールは我がフランスを護るために必要なんだ、手放す訳にはいかない、そして私は軍人だ、皆を護る為なら手段は選んでいられない、そういう覚悟は出来ている、後世に何と言われようともだ」
男はそうやって今日何度目になるか解らないため息をつく
そして少し躊躇いがちに男は言葉を続ける
「私には娘がいた、可愛い子だった、私と妻に取って天使だった、残念ながらちょうどラファールと同じぐらいの年に病気で去ってしまったがね、そして私と妻は新しい子供を作るのがすっかり怖くなってしまった」
ボクは言葉が出てこない
「まあ言い訳だな、ようは『中身』が何であれ、幼い少女が泣きながら助けを求めて来たら理屈抜きに助けたい、君と大差ないという訳だ、そう思わないかね?」
悔しい事に全く言い返せなかった
「少年今度はこちらからだな、そう言えばまだ名前も聞いていなかったな、私の名前はトゥルニエ、どうか君の名前を教えてくれないものだろうか」
ラファエル」
「ラファエル、風の御使いにして守り手の名前、なるほど確かに疾風の騎士と言った所か」
そして男はかがみ込み、ボクの顔に手を伸ばす
これも何かの因縁か」
不思議とその顔は穏やかで暖かった
「さっきも言った通り私達夫婦には後継ぎがいない、そして君に行く場所が無いのなら、施設が嫌なのなら、君さえ良いと言うのなら、」
その時のその言葉は、今だに忘れられない
「私の所へ来るかね?」


そして『男』は僕の『父』となった


その日から僕の人生は一変した、ラファエル・トゥルニエとして、
温かい食事、清潔なシーツ、何より学校、
新しい『母』も僕を優しく迎えてくれた
戸惑う僕に父はただ『ラフィ、お前は勝ったのだよ、勝者として当然の権利だ、堂々としてい
なさい』と言うだけだった


あまりに変わった僕の人生に、ラファールが身代わりに僕に翼をくれた、そんな気さえした
ろくでなしの親戚はその次の日に逮捕された、何でも金に困って明日にでも僕を海外の人身売買組織に売り飛ばすつもりだったらしい
芋づる式に組織のメンバーも逮捕され、連日ニュースを賑わせた
わずか一日の違いに僕は恐怖と、そして不思議な運命の巡り合わせを感じた


ラファールはどうなったのか、彼女は一体何者で彼女に何が行われていたのか、あれから父に何度も聞いたのだが『忘れろ、もうお前の知る事ではない』『世の中には知らない方が幸せな事がたくさんある』とだけしか返って来なかった
ただ『ちゃんと私が責任を持って見守っている、だからお前は何も心配するな』とも
僕は父のその言葉を信じるしかなかった


僕は父の期待に応えるべく一生懸命勉強した、何より知識の吸収が面白くて仕方がなかった
努力のかいがあって、僕は名門校への進学が決まった
めったに笑わない父が珍しく微笑んでいた
何か欲しい物は無いのかとも
だったら僕は日本製の二輪が欲しい、もう免許も取ったし貯金も貯めた、少しだけ援助をしてくれと
父は一瞬戸惑いを見せたがその後は快く承諾してくれた
今の季節はコートダジュールが気持ち良いだろうと意外な事を言ったのは僕の方が驚いた


全身に風を感じ、しばらく走らせた後海辺で少し休憩をする
ふと聞こえて来た轟音に空を見上げると見事な飛行機雲が見える
フランス空軍だろうか、そう言えばラファールは飛ぶ事が出来たのだろうか
あれからしばらくの時が過ぎたが風を感じる度にいつも思い出す


あの黒瑪瑙色の瞳の少女の事を


後書き
何か自作SSをやたら褒めてくれたらふ氏につい恥ずかしい感謝のSSを
自分はバイクに乗らないのでここがおかしいドゲザしかる後セプクだと思ったら指摘下さい
いつでも速攻変えますので(汗)