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sguearth
2023-12-06 20:42:26
4305文字
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ガーリー・エアフォース原作その後の世界妄想SS前編
いつかTwitterラインで話題になった原作その後ってやたら技術が発達したよねからの考察SS
轟音が轟く、双発無尾翼の戦闘機1機がタキシングしてくる、かつてまだまだプランとCADデータのみだった国産製26DMU発展型
…
すなわちF-3初号機がわずか1年足らずで形になり、今こうして初のテストフライトを終えようとしている
世に言う球殻突入戦
…
世界の命運を決めるあの失う物が多すぎた戦争から慌ただしくも3年の月日が流れ世界は激変を迎えていた
「いい仕上がりですよ室長、国産エンジン、フレーム、各種新型電子戦装備に対応ソフトウェアどれも一級品だ」少しほうれい線が増えた船戸が声を賭けてくる
「
…
私はもう室長ではないのだがな」「すいません、
…
つい室長と呼んでしまって、これじゃいけないと解っているんですがね、オレ自身、『あの時』から時間が止まってしまって、いい加減吹っ切れなきゃいけないと思ってはいるんですがね
…
」そう言って船戸は寂しげな横顔を見せる、そして何よりタチが悪いのは、「室長」と呼ばれる事に居心地の良さを、甘えを感じている自分がいる事だ
「
…
船戸、辞表は見せてもらったが本当か、まだ一線を引く歳では無いだろう」
「すいません、室長、でも正直『あの子達のいない』今の職場にはどうしても気力も未練も感じないもんで、今のハンガーは静か過ぎでだだっ広過ぎていけねえですから、ああ心配せんで下さい、こう見えても貯金結構あるしお陰様で退職金も結構な額でしたんで、少し休んだらじっくり再就職先を探しますよ、そう、こいつを、F-3を、鳴谷君の為に完璧に仕上げる、それがオレのここでの生涯最後の総決算だ」
「
…
鳴谷君は断固として拒否すると思うがね」「なあにそうなったら例のプランBを実行させてもらうだけですわ、こればかりは鳴谷君に無理矢理にでも言う事聞いてもらうしかねえかと」
そう言って船戸はヒヒヒと品がないいたずら少年のような、それでいて何処か寂しげに笑う
そう、世界は変わって行った
元々イレギュラーだった古巣の独飛は技本ごと解体、防衛装備庁に再編され、曰く、「異常」だったのが「元」に戻された
私はそれと共に独飛室長を解任され防衛装備庁の相応の地位に付かされた
栄転と言えば聞こえはいいが要は幕僚達に戦後のゴタゴタと責任を押し付けられたのは明白だった
…
まあこんな仕事をこなせるのは私以外に適任はいないだろうが
自然に船戸を始めかつての同僚達とは疎遠になっていき私は新しい仕事に多忙になって行った
ザイとの戦争により世界は政治経済と共に大打撃を受け元の平穏を取り戻すのに最低でも20年はかかる、はず、だった
私のかつての研究者仲間でありあの「大馬鹿者」の米海軍DALPAのウィリアム・シャンケルがとんでもない発見をするまでは
そう、彼は砕け散ったザイの破片を高純度のエネルギーに変換する事に成功してしまったのである
ザイとの戦いの後各地に散らばったガラス細工の破片達、最初は誰もが薄気味悪がって触る事すら恐れ、海や山奥に破片を捨てて行った、当然の反応だろう、いつかまた動き初めて密集して再びザイとなって襲ってくる、そんな子供じみた都市伝説まで流れたぐらいだった
だがその発表をされた時、世界は一変した
当初アメリカと国連主導でザイの破片、通称ザイ・クリスタルを個人で収集するのは当然禁止された、当たり前の処置であろう、だがもはやそんな建前を聞く者は誰一人としていないぐらい世界は疲弊し、飢えていた
最初は闇社会から、やがてアメリカに反発する国家やテロリスト、金儲けの為なら手段を選ばない世界的大企業、上手く立ち回ろうとする個人投資家、戦後の主導を握りたいロシア、中国、EU、そして何より口では禁止しておきながら当のアメリカや我らが日本に至るまで、降って湧いた新世代エネルギーに、誰も彼もが競って追い求めた
さらに始末の悪い事に元々航空飛翔(生命?)体であるが故に各種航空技術素材と極めて相性が良く、工程の段階で微粉上のザイ・クリスタルを混ぜ込むと従来より遥かに恐ろしい程強度が高くかつ軽量、加工もしやすくおまけに電波吸収までしてしまうというまさに航空関係者にとって夢の素材が出来上がってしまったのだ
このザイ・クリスタルを用いたフレームとエンジンに何の因果であろう私にとってある意味悪夢と言うべきアニマ技術の蓄積されたソフトウェアを組み合わせる事により量産型ドーターとも言うべき本来定義すら難航していた第6世代機が実にあっけなく完成してしまったのである
テスト導入された機体は非公式ながら米軍のDACTでAWACSの支援を受けたF22F35第5世代の混成部隊を15:0で完膚なきまでに叩き呑めしたらしい
…
、長らく難産だった第5世代の技術関係者達はその時悲鳴と歓喜の声を同時に上げたと聞く
さらに恥をしのんで言おう、人類の最後の希望の砦である現在赤道直下モルディブに建設中の軌道エレベーターとそれに連動する発電プラントはザイ・クリスタルが使われている
…
、どうしても構造上に無理な負荷が架かっていた箇所及びエネルギー問題をザイ・クリスタルが一気に解決してしまったのだ、未来人共の嘲笑が聴こえて来るようである、だが今更止まる訳には行かない
ゴールド・ラッシュならぬザイ・ラッシュ、一晩で数十倍の値段が動き、必然的に禁止法はなし崩しになかった事にされ、かつての激戦地、特にタクラマカンは「鉱山」と呼ばれ、領土を主張するモンゴルにその後に控える大国の思惑、果てはゲリラテロリストが入り込み、小規模の紛争まで起きる始末だった
ムチャクチャだ、
…
そうムチャクチャだった
、だが世界の人々にとって千年後の未来よりも明日の生活が重要である事実は動かせない、かくて世界はムチャクチャを呑み込みまた明日が来る
ノックが聴こえ、懐から一本取り出して火を付け、私は入出を許可する、「お久しぶりです、遥さん」
2年ぶりだろうか、久々にあった彼、鳴谷慧は少し痩せて精悍、そして何処か影を落とした顔付きだった
「ふん、大人になった代わりにあの頃の勢いは減ったな
…
、どうかねF-3の乗りこごちは」
そう、彼を呼んだのはただの同窓会ではない、ある目的と次いでにF-3試作機のテストパイロットとしてもである
「最高ですよ、上昇、加速、旋回、姿勢制御、RCS、航続距離、各種最新電子装置による状況認識とネットワーク、どれもファイター・パイロットの夢が実現したみたいですよ
…
今後50年の日本の国防は保証します、人類最後の有人戦闘機じゃないですかね」
「それは良かった
…
だが君は言葉とは逆にあまり嬉しそうではないな」
「所詮自分の乗機にはなりませんからね」
少しの沈黙の後、私は話を切り出す
「
…
乗機になると言ったら?」
「
…
今、何て言いました遥さん」
「乗機にさせる、早い話が今のF-3試作機をくれてやると言ったんだ、正直パイロットとしてグリペンに限界を感じているはずだ、無理もない、ドーター・アニマ技術とザイ・クリスタルのお陰で最近の技術発達ははっきり言って異常だ、相対的にF-35ですら急速に旧式する現状は技術革新と言うよりもはや技術の極移動、特異点と言っても過言じゃない、日本の最新鋭国産第6世代機のF-3に乗り換え無ければいつ撃墜されてもおかしくあるまい、
何、試作機と言っても少しアップデートすれば完成形と言ってもいいし、今の俺の立場とザイ戦の英雄である君だったらスペアパーツごと強引に引き渡すのはそんなに難しい事じゃない、反対する連中も世界に日本の技術力のいいプレゼンに成ると説得する、そして言いにくい事だがいい加減ロートルな君のグリペンは退役させてモスボール保存か第三世界にでも格安で」
「お断りです!」悲痛な、そして100%予想していた答えが返ってきた
「遥さんだったら知っているでしょう!オレと、グリペンがどんな思いで戦って、一緒に毎日を過ごして来たか!どれだけの思い出を、積み重ねて来たか!」
「オレにグリペン以外の機体なんてあり得ない!そう、死ぬのなら、グリペンと共に!!、」
激高の表情と共に今にも掴み掛かって来そうな勢いである、「
…
ちょっと待ち給えよ君、」私は彼の勢いを削ぐ為に一瞬の沈黙の後紫煙を吐き出し懐から携帯端末を取り出し船戸に連絡を掛ける
「
…
船戸、交渉決裂だ、プランBを」
「あいよ、室長、へへへどうせそんなこったろうと思ってもう作業に入っていますよ、次いでにこの際思い残す事が無いように思い切りオーバーホールしてやります、こいつに触るのも久しぶりで最後ですな、この船戸の一世一代最後の大仕事ですわ」
「相変わらず早いな、感謝する」
「何を
…
」
「
…
グリペンから降りたく無いんだろ?だったら君のグリペンFをF-3の各新型電子戦装備に交換し、徹底的にアップデートしてやる、元々F-3はアメリカの要求もあって各部がモジュール構造で将来長期に渡ってプラグ・アンド・プレイ、交換強化しやすいように最初から設計してある、しかも今回はグリペンに合わせてカスタマイズした特注品だ、次いでにエンジンも新型に交換する、そりゃF-3に比べたらどうしても性能は落ちるだろうがそれでも同期のF-35やラファールMK2+に比べても全く引けを取らなくなる筈だ、今までと比べても生存性が格段に違うだろう、感謝しろ、君とグリペンの為だけにどれだけ予算を捻り出したと思っている」
気が抜けたのか、鳴谷君は額に手を当てて今にも後ろに倒れ込みそうになる
「
…
あいつ、喜びますかね?、身体を好き放題に弄られて」
「感謝するに決まっているだろう、あいつの望みは君と人類を守る、最後の最後までだ、その為に力を欲して今まで戦って来たんだからな、それこそ千年以上もだ」
「そりゃ、そうですけど
…
」
「
…
次いでにこの際はっきり言っておこう、君は死に場所を求めているな?」
いきなりの私の発言に、彼の顔色はみるみる蒼白になる
「そんな事は!無い!、はずです
…
」
最後彼の声は消え入りそうなる
「
…
君の気持ちは解る、あんな体験をしたんだからな、俺もそんな君に安易で薄っぺらい慰めの言葉は掛けたくない、だが、だからといって死にたがっている若い君をみすみす見逃す訳にもいかない、これは君をザイとの戦いに最初のきっかけを作った俺の責任であり義務であり
…
そして自己満足だ」
今度こそ、彼は観念した表情になり、黙って頷く
~一旦前編終了~
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